第9話 与えない休憩時間
お互いにポットからお湯を入れた後に、私は美冬へ催促した。
「ほら、早く次の手を指してよ。ラーメンが出来上がるまで、3分かかるでしょ?」
「ええっ!? まさか、食べながら将棋を指すの!?」
美冬は、驚いて目を見開いた。
「甘えるようなことを言わないで! 休憩時間まで与えるほど、私はお人好しじゃないよ。食べる時間を利用して、奥の展開まで先読みをするつもりでしょ? その程度のことくらい、お見通しよ!」
「うう……わ、わかったよ…………」
美冬は、渋々ながらも盤上を見つめた。しばらく考えて…………そして、3分程度が経過した時点で桂馬を跳ねた。そして味噌ラーメンのふたを開けて、ご丁寧に両手を合わせて
「いただきます」
と言いながら美味しそうに食べ始めた。
「ちっ……」
私は、思わず舌打ちをした。私が食べるきつねうどんの方は、あと2分待たなければならないからだ、知らず知らずのうちに、私も空腹になっていた。
そして、私も少し考える。そして、2分が過ぎた時点で私の方も6五へ歩兵を勧めた。いよいよ、開戦だわ!
開戦と同時に、私もきつねうどんのふたを開けて、食べ始めた……う~ん、絶品!
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