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しげるんのことまでバラされて結局何の役にも立たなかったし、かずくんにも裏切られるし。
みんなから散々責められて、私ばっかり悪いみたいにされて。
挙句に奥さん……私より下の存在のはずのババアに見下されて。
本当に最悪だった。
150万に減らしてもらった慰謝料のうち、100万は親が払ってくれた。
でも残り50万は自分で払え、そうしないと地元に連れて帰るって言われて……しょうがなくバッグやアクセサリーを売って慰謝料を払った。
お気に入りのやつも手放さなきゃならなくてムカついたけど、まだ
今度は別のパパ活相手のおじさんの奥さんから、不倫で訴えられて慰謝料を請求された。
しかもその奥さんっていうのが、うちの親の大事な取引先?とかで大騒ぎ。
慰謝料はあの女の倍の300万なんていうぼったくり。でも取引を切られるわけにはいかないとかで、それをそのまま払わないといけなくなって。
ついこの間払ったばかりなのに、新たに300万もの慰謝料を用意できる程うちの親は裕福じゃない。
それに、今度こそ両親はカンカンだった。
私は無理やり地元に連れ帰られた。
その挙句、同じように農家を営む40代独身長男の元へ嫁がされることになった。
私が嫁にいけば、結納金として300万を用意してくれると話がついたらしい。
どんなに泣いて抵抗しても無駄で、あんなに私に甘かったはずの両親は「やったことの後始末は自分でつけろ」そう言って私を見放した。
そうして私は、売られるも同然に嫁ぐ羽目になったのだ。
夫となったのは薄らハゲでキモイおじさんで、嫌悪感しかわかない相手だった。
でもおじさんの相手には慣れていたし、キモくても金はあるみたいだし。
上手いこと操縦すればいい……そう思ったけれど。
同居となった義両親がこれまた最悪だった。
セクハラしてくるか、人を顎で使うかしかしない義父。
嫌味と暴言を吐き続けて、私のやること全てを否定してくる義母。
家の中の家事は全て私の仕事で、農家の手伝いまでされられた。
おまけに義父のお母さんの自宅介護もあって、それも当然のように押し付けられた。
そして、妻がいじめられているのは全て見ないふりするくせに、体の関係だけは求めてくる夫。
味方は誰もいない中で、辛さだけがどんどん溜まっていった。
もう耐えられない……そう思って逃げようとしたら見つかって、スマホも取り上げられてしまった。
それからも抵抗しようとすれば怒鳴られて、時には叩かれたりもして。
段々と抵抗する気力さえもなくなっていった。
「まずい!
こんなん食えたもんじゃないよ。
全く本当に使えない……若さくらいしか取り柄がないなんてね」
作った料理が、義母の手によって目の前で捨てられていく。
これまで料理なんてろくにしたことなかったから、確かに料理はまだ苦手だけど……一生懸命作っているのに。
でもどうせ、助けてくれる人もいない。反抗したって無意味なんだ。
トイレの帰り、洗面所で手を洗っていて……ふと顔を上げた時に、鏡に映っていたのは疲れ果てた女の姿だった。
美容室どころかロクにお手入れもできていない髪はパサパサで、きちんとメイクする時間すらない。
私はこんなのじゃない……こんなのじゃなかったはずなのに。
前にかずくんが言ってたことを思い出す。
あの女……かずくんの元奥さんは、誰も味方がいなくって、その上介護まで押し付けられていて……都合のいい下僕みたいな存在なんだって。
あの時の私は、「カワイソー」なんてかずくんと一緒になって笑っていたけど。
―――今の私は、元奥さんと同じだ。
どうして?
どうしてこんなことになっちゃったの?
若くて可愛い私の人生は、これからも上手くいくはずだったのに。
もっとみんなが羨むような生活をして、幸せになれるはずだったのに。
結局、待っていたのはこのクソみたいな結婚生活。
「……不倫なんて、しなきゃよかったのかなぁ……」
涙が一筋、ポロリとこぼれた。
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