第3話

母と娘の決意

長いまどろみから覚めるように、意識が浮上する。


ここは……どこ?


私は病院のベッドの上で、死を迎えたはずだ。

それなのに……今の私はどこかの家の中、ベッドの上にいた。


横たわっていた体をそっと起こしてみる。

思うように動く体には痛みもない。

それに見覚えがあると思ったら、ここはかつて私が住んでいた義実家そのものだ。


どうして? ここが……死後の世界なの?

状況が飲み込めず混乱する私の元に、誰かが近づいてくる足音。


反射的に目を向ければ、そこには幼い彩の姿があった。

目があった瞬間、彩は走って私に飛びついてくる。


「……おかあさん……!」


私にしがみついて、私を“お母さん”と呼ぶ彩。


「また会えた……おかあさん、ちゃんと生きてる……!

……おかあさん、おかあさん……」


たくさんの涙をこぼしながら、確かめるように強くなる腕の力。

見た目では、8歳くらいの姿の彩。

でも、もしかして……頭に浮かんだ疑問を口に出す。


「……あなたは、16歳の彩……?」


私の言葉に、彩は驚いたように顔を上げる。


「……うん、そうだよ……!

それならお母さんもってことだよね……!?」


「同じ……?」


聞き返せば、彩が頬を紅潮させながら言った。


「私たち、過去に戻ってきたんだよ……!」

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