第20話 目測

 スーパーの野菜売り場に行くと爽やかな柑橘の香りが漂っていました。


 棚の前面に、柚子が山積みされているからでした。


 2023年の冬至は12月22日です。


 この日を境に、北半球は日が長くなります。


 なんだか今年もあっという間に年の瀬です。



 最近、どうにも色んな歯車というかタイミングが合わず、もやもやすることが多くあります。


 これだと一目惚れして買った服が翌週に値下がりになっていたり、店で見かけた時に安いので気になったのですが、まだ家にストックがあるし今買ってもなあと思っていたら知らない間に食べられていて、再度買いに行った時にはもう元の値段に戻っていたツナ缶や、クーポンの使える店にその商品がなくて仕方なく他の店で定価で買ってしまったカイロなど。


 大した差額ではないのですが、見てしまうとやっぱり悔しさが滲みます。


 そして、ここ一番の後悔は紅茶です。


 アールグレイのティーパックを買ったのですが、これ本当にベルガモットで香り付けしたのだろうかと思う程違う香りだったからです。


 ベルガモットも香るのですが、その他のものも混ざっているようで、しかもその香りの方が際立っているので、余計に違和感を抱いたのだと思います。


 天然のものではない、人工的な香りが付けられているような感じが否めません。


 ちょっと柔軟剤の香りのような感じです。


 それでも飲んでいるうちに気にならなくなるかなと、温度を冷ましてカップ半分くらいまで飲んだのですが、やはりどうしても気になってしまいます。


 食べ物を粗末にするのは不本意なのですが、それ以上は口を付けられず、キッチンに流してしまいました。


 私がだめでも他の人ならと、家族に勧めたのですが、やはり家族も同意見でだめでした。


 後先考えずに大容量のものを買ってしまったので、残っている分をどうしようかと思案しています。



 目算が狂うことはままある、と先の話でも言っておりましたが、よくまあこれだけ続くもんだなと思います。


 自分で拗らせているだけかもしれませんが、続くとやはり何かの原因があってのことなのかと勘繰ってしまいます。


 何か余計なことをしたのだろうかと考えた時、大掃除が思い浮かびました。


 例年になく色んな所に着手しました。


 もしかしたら、日頃の恒常性を維持するピースメーカーのようなものが冷蔵庫か食器棚にあって、掃除して知らないうちに捨ててしまったのでしょうか。


 賞味期限切れのシチューのルーでしょうか、粒マスタードのチューブでしょうか。

 それとも、ただの液だれだと思っていたあの染みが破魔の魔法陣だったとか?


 くだらない妄想だとはわかっていますが、自分ではなく他に原因があるとこじつけたい気分なので……今回はなんか、すみません。


 好転反応かもしれない、と前向きに考えるようにします。

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