第13話 我が家
ロゴス達3人には、今後俺とは友人として振る舞うように厳命して、ダンジョンに向かわせた。
火山洞窟での依頼を受けていたようだったので、そのまま火山洞窟に行って依頼を達成してくるように話した。
死人に金は必要ないので、3人から持ってる金を全て受け取った。
金貨6枚とかなりの金額だった。
悪い事をして稼いだ金だろうが、金に罪はない。
大切に使わせて貰うつもりだ。
お礼といっては何だが、後でスピリチュアルチャージをかけてやるつもりだ。
流石に今日は魔力も霊力も枯渇していて無理だった。
流石に今日は酒場に行く元気も無く。
帰って休むことにした。
屋敷に帰ると、そこには見違えるほど立派になった屋敷があった。
ジェイソンが手入れした後の庭は、庭園のように美しく蘇っていた。
「ウォン」
真っ先にグリンがお出迎えしてくれた。
俺はグリンの頭を撫でながら庭の入口に向かった。
庭園の入り口から足を踏み入れると、目を奪われるほどの鮮やかな景色が広がった。
広々とした芝生は美しく整えられ、緑の絨毯のように広がっている。
草が伸び放題だった場所は、完璧な刈り込みで整然とされ、草花たちが際立っていた。
花壇は鮮やかな色彩で溢れ、美しい花々が咲き誇っているし、一面に広がる花々の香りが漂い、心地よい風に揺れる姿はまるで絵画のようだった。
崩れた石垣は修復され、石の美しさが際立つようになり、石垣の上には、優雅に咲くつる性の花々が絡みつき、壮大な景観を創り出していた。
「すげぇ」
俺は思わず感嘆の声を漏らしていた。
迎えに出てきたジェイソンは誇らしげな顔で俺をみている。
「素晴らしい庭だなジェイソン。ありがとう」
「こちらこそ、やりがいのある庭に出会えて最高に幸せです。そして、いくら働いても疲れない身体、ずっと庭仕事がし続けれるなんて幸せ過ぎます。旦那様、他の部分も見てください」
俺はジェイソンに促されるままに、庭の各所を見ていく。
植栽されなおした木々は生命力に溢れ、瑞々しい葉っぱが枝に茂っている。
風に揺れる葉の音は、穏やかな音楽のようであり、庭全体に静寂と生命力をもたらしていた。
小道は丁寧に整備され、石畳や砂利が綺麗に敷き詰められている。
雑草やつる草は一切存在せず、歩くたびに足元から心地よい音が響きく。
ベンチやテーブルは新たに塗り直され、輝くような美しさを取り戻していた。
錆びや傷も一切なく、訪れる人々がくつろぎながら庭の美しさを楽しむことができるだろう。
庭の一角にある崩れ落ちた噴水も、見事に修復されていた。
水はクリスタルのように澄み渡り、噴水の中央から優雅に舞い上がっている。
水の流れの音は清々しく、周囲の静けさを包み込む響きとなっていた。
噴水周辺の苔や雑草も完全に取り除かれ、清潔で美しい環境が広がっている。
「短時間で良くここまで出来たもんだな?」
「商会の方々が運搬の際に、魔法師が同行されておりましたので、木々の植栽などは土魔法で一部手伝っていただいたのですよ」
「そっか、支払いは大丈夫だったのか?」
「今回は大量購入の特典として無料で対応させていただくとの事でした」
「そりゃ助かるな。それにしても綺麗な庭だな。センスも良い。確かにこれはプロの仕事だ」
「そう言っていただけて庭師冥利に尽きます。私にとって何よりも嬉しい事ですよ」
「おかえりなのじゃ」
ジェイソンと話しているとモーリスがやってきた。
「ただいま、モーリス。凄い庭だな。ジェイソンを連れてきてくれてありがとうなモーリス」
「お互いに幸せなら良いことじゃないか」
モーリスはにっこりと笑って俺とジェイソンを見つめた。
「屋敷の中にも、もう一人張り切っておる奴がおったから、屋敷の中も見てやっておくれ」
そう言って、モーリスは屋敷の中に俺を案内した。
屋敷の内部も、エミリーの手によってまるで別世界のように生まれ変わっていた。
一歩足を踏み入れると、薄暗かった廊下に明るい光が差し込んでいる。
窓ガラスが丹念に磨かれ、日差しが室内を照らし、壁面には美しい絵画や装飾品が掛けられ、豪華な雰囲気が漂っていた。
この絵の配置や装飾品のセンス。全部エミリーにお任せして買って正解だったようだ。
廃墟と思われたリビングルームも、美しく再生された豪華な空間となっていた。
床の大理石は磨き上げられ、光沢を取り戻していたし、真新しい家具が配置され、調和の取れたインテリアが広がっている、シャンデリアからは美しい光が輝き、部屋全体に優雅な雰囲気を与えていた。
キッチンは一から作り直され、綺麗な白いタイルが壁に貼られ、光沢のあるシルバーの調理器具が整然と並べられている。
エミリーは、料理の香りが漂う清潔な空間で、素晴らしい料理を作り上げているところだった。調理台には鮮やかな野菜やフルーツが並び、見る者の目と舌を楽しませる料理の数々が丁寧に盛り付けられていた。
「旦那様。おかえりなさいませ。もうすぐ食事のご用意が整いますので、少々お待ちくださいませ。先にお風呂に入られますか?」
「ただいまエミリー。凄いな。家中が輝いて見えるよ。ありがとう」
「こちらこそ、素晴らしいお屋敷で働かせていただき本当にありがとうございます」
「うむ。今日も疲れておるんだろう?霊力も魔力もかなり減っておるのが分かるわい。先に風呂に入ってきたらどうじゃ?」
モーリスに促されて俺は先に風呂に入ることにした。
バスルームも一新され、大理石の床と壁が輝き、浴槽やシャワーヘッドが備え付けられていた。
美しい香りのする石鹸やシャンプーが並んでいた。
既に浴槽には暖かなお湯が張られており、俺はゆっくりと湯船に入り、今日一日を振り返った。
ロゴス達3人との戦闘。
相変わらす自分自身の力不足を感じる戦闘だったな。
今回は運が良かった。
そう感じずにはいられない内容だった。
こればかりは考えてばかりでも、どうしようも無い事ではあった。
ロゴス達の拠点の家も、寂れてはいたけど大きな屋敷だったし、明日はジェイソンとエミリーに頼んで手入れしてもらおう。
そんな事をつらつらと考えながら身体を洗って風呂を出た。
「エミリー風呂もめちゃ綺麗になってたよ。ありがとう。最高だ」
「ご満足いただけて何よりですわ。ではこちらにお座りになって、夕食をどうぞ」
俺はテーブルに座りながら期待に胸を膨らませる。
「旦那様、今日は特別なメニューをご用意しました。どうぞお楽しみください」
そこには繊細に作り込まれた料理がテーブルに並んでいた。
「まずは、シルクヴェールの上に広がるリーフの葉と自家製ドレッシングが特長のサラダです。どうぞお召し上がりください」
鮮度も良いのだろうが彩りも素晴らしいサラダだ。
「これは…まるで森の中で食べているような味わい。新鮮な野菜の甘さとドレッシングのハーモニーが最高だ」
「続いては、ドワーフの秘伝スパイスを効かせたグラスローズのスープです。どうぞお召し上がりください」
「芳醇な香り、ドワーフのスパイスがスープに深みを与えているんだな。絶妙なバランスだな」
「そして、本日のメインディッシュは、ファイアホーンのフィレステーキ特製グリルです。どうぞご堪能ください」
ついにメインディッシュだ。極上のフィレステーキがジューシーに焼き上げられ、赤ワインソースと共に提供された。添えられる季節の野菜は、繊細な調理法で味わい深く仕上げらている。
「美味い。一口で旨味のある肉汁が一気に口の中に広がる。臭みも全くない。めちゃくちゃ柔らかいぞ」
「最後に、スターライトケーキです。どうぞごゆっくりお召し上がりください」
「これはまるで星空を食べているような感覚だな。シュワシュワとした食感と
、甘さが口いっぱいに広がる」
俺は、エミリーが作り上げた絶品の一人前の夕食を堪能しながら、美食の饗宴に酔いしれていった。
エミリーの腕前と創造力に感謝しながら、俺は至福のひとときを過ごしたのだった。
「エミリーありがとう、凄く美味しかったよ。本当にありがとう」
「お食事を喜んでいただけるのが、私の何よりの喜びですわ」
「それじゃ、そろそろ寝るよ。おやすみエミリー」
「おやすみなさいませ旦那様」
俺は、満腹になり幸せな気持ちのままに寝室に向かう。
寝室は贅沢な空間となり、ベッドはふかふかのベッドカバーやシルクの枕で飾られている。
窓からは柔らかな月の光が差し込み、カーテンは美しい生地で揃えられていた。
芳しい香りが漂い、まるで高級宿のスイートルームのような雰囲気に満足して、俺は深い眠りに落ちていった。
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