第12話 追われた先は

武装して巨体の3人よりも、武装も無く軽装の俺の方が足は早い。


あとは定期的に自らにスピリチュアルチャージをかければ、疲れもとれて追いつかれる事はなさそうだな。


俺は必死に逃げたが、ロゴス達は執拗に追いかけてきた。

強い反応までの距離はまだある。


「逃げられると思うなよ!」


ロゴスが叫んだ。


「お前は俺を馬鹿にした。女が寄ってこないだ?許せんぞ!」


「事実だからこそ頭にくるんじゃないのか?」


俺は走りながら言った。


「ふざけるな。俺は強い。俺は金もある。お前なんかに馬鹿にされて黙ってられるか」


俺はついに、ある場所にたどり着いた。


「おい、俺達の拠点じゃねぇか?」

「なんでお前が俺達の拠点を知ってるんだ?」


俺は、後方からの声を聞きながら、ドアをぶち破って屋敷の中へ入り込んだ。


強い反応の場所、そこはロゴス達の拠点の屋敷らしい。

屋敷は古くて大きくて豪華だったが、暗くて不気味だった。


「うおおお」

「殺す殺す殺す」

「憎い憎い憎い」


の屋敷には、ロゴス達に酷い目にあわされて死んでいった人々の怨霊が数多くいた。

3人に纏わりついているが、彼らには見えてないようだ。


「ここで終わりだ」


ロゴス達は屋敷に入ってきた。


「お前を殺して、お前の持ってる金を全部奪ってやる」


彼らは武器を構えて俺に向かってきた。


「待ってくれ」


「何か言い訳でもするつもりか?もう遅い。無駄だぞ」


ロゴス達は笑った。


「いや、言い訳じゃない。お願いだ」


死霊術師は言った。


「何を願う?」


ロゴス達は命乞いでも期待しているのだろうニヤついた顔で俺の言葉を待つ。


「この屋敷にあるものを見て欲しいんだ」


俺は言った。


「何を見ろっていうんだ?毎日住んでる俺達の家だぞ?見飽きたわ」


ロゴス達は理解が出来ないのだろう、イライラしている。


「この屋敷にあるもの……それは……」


俺は言葉を濁した。


「それは何だ!早く言え!」


ロゴス達は急かした。


「それは……ここにある……死者達だ!」


俺は叫んだ。


「死者?」


ロゴス達は驚いた。


「そうだ。お前達が殺した人々の死者だ。彼らはこの屋敷に留まり続けている。そして、お前達に復讐を求めている」


俺は言った。


「ふん、そんなことがあるわけがない。死んだものは死んだままだ」

「俺達に殺されたやつら?弱いから殺される」

「気に食わない奴は殺されて当たり前だろ」


ロゴス達は笑った。


「そうか?では、これを見てもそう言えるかな?スピリチュアルチャージ」


俺は、屋敷全体に充満して広がるほどの霊力と魔力をスピリチュアルチャージに込めて怨霊たちに力を与えた。

ごっそりと俺の中から魔力と霊力が抜け出る。

フラッとする感覚。


生者が視認することも出来ないくらいの力しか持たなかった怨霊たちに、現実に干渉するほどの力が満ちていく。


屋敷の中から不気味な音が聞こえてきた。

それは、怨霊の声、死者の声だった。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


「殺せ!殺せ!殺せ!」


「復讐だ!復讐だ!復讐だ!」


屋敷の中から、無数の怨霊が現れた。

彼らはロゴス達に向かって襲いかかった。


「うわああああああああああああ!」


ロゴス達は恐怖に叫んだ。

彼らは武器で怨霊を攻撃したが、効果はなかった。

怨霊は武器をすり抜けて、ロゴス達に食いついた。

ロゴス達は怨霊に引き裂かれて傷ついている。


「助けて!助けて!助けて!」


血に塗れたロゴス達の悲鳴が屋敷に響き渡った。

しかし、誰も助けは来なかった。


「ライフドレイン」


瀕死の彼らもポーションや聖職者の治療を受ければ助かったかもしれない。

だが、俺は怨霊達の復讐の手助けをしてやる。

ロゴス達から生命力が流れ込んでくる。

彼らはすべて死んでしまった。


「ああああああ」

「ありがとうありがとうありがとう」

「ようやく、ようやくだ」

「きもちいいいいいいいい」

「うおおおおおおお」

目的が達成されたからだろう、次々と怨霊達が昇天していく。


「これで終わりだ。デスリザレクション 」


ロゴス達3人は蘇る。


ロゴス達3人と俺の間に霊力による主従の繋がりが出来たのを感じる。


昨日の敵は今日の友。


俺の友達が3人も出来た。


さっそく彼らにはダンジョンに行って稼いできてもらおうと思う。

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