第6話 雅子と若狭 

 2012年6月3日

 13:30(JST)頃熊本空港発大阪国際空港行全日空1626便(ボンバルディアDHC8-Q400型、乗客乗員68人)機体にトラブル発生、松山空港に緊急着陸。


 オウム真理教事件の逃走犯の1人である菊地直子が逮捕。

 

 主人公の雅子は、幸せな家庭を築いているが、夫の冷たさに悩んでいた。2人共、来月の7月3日で35歳になる。雅子は『若狭弁護士事務所』で事務員として働いていたが、2年前に寿退社している。

 この日、彼女は若狭と旅行先の京都で偶然再会した。若狭が京都タワーから出てきたから、ビックリした。

「あれ? 吉田さんじゃない?」

 彼はスーツ姿だった。どこなく織田裕二に似ているような気がした。雅子は中学時代、弓道部だったのだが、サボって再放送の『東京ラブストーリー』を見ていた。鈴木保奈美演じるリカが『カンチ、セックスしよう』って言うセリフに顔が真っ赤になったのを覚えている。雅子は仕事のときはあまり若狭と話さなかった。引っ込み思案な性格だし、勤務中に同僚とおしゃべりしていたら若狭に叱られたことがあったからだ。

「若狭さんこそ、どうされたんですか?」

「出張。吉田さんは?」

「一人旅です。夫がうるさくて……」

「あっ、そうなの? 京都は五山の送り火が素敵だよ」

「よく、来られるんですか?」

 次の瞬間、雅子は腹痛を感じた。

「どうしたの? 顔を顰めて」

「お腹が痛くて」

「正露丸あるけど飲む?」

 バックから薬を出して渡してくれた。

「若狭さんって優しいですね?」

「そうでもないよ、じゃ」

 若狭は駅の方へ歩いて行った。

 偶然の出会いから始まる二人の関係は、まるで運命のような巡り合わせだった。雅子と若狭はお互いの悩みを共有し、励まし合いながら次第に心を通わせていく。

 雅子は京都に2泊した。銀閣寺、金閣寺、南禅寺、祇園、知恩院、清水寺、八木邸(新選組屯所)などに行った。


 雅子が家に戻ると、夫が睨みつけてきた。

「家のこともやらないでフラフラ、いい身分だな?」 

「私はあなたのロボットじゃないのよ」

 昔は腕を組んでよく歩いたが、今じゃ同じ空気を吸うのすら嫌だ。


 若狭の家も修羅場だった。妻の冴子は大学の後輩で、最初はハンカチを貸してくれたり優しかったのだが、今じゃ入浴後同じタオルを使おうとすると「汚いからやめてよ」と言われる始末。

 夜の営みも最初は朝までだったが、今じゃ全くない。若狭はあまり子供が好きになれなかった。金がかかるって話だし、冴子も『あなただけいればいい』と言っていた。

 京都で雅子と再会してから、彼女のことが気になって仕方がない。


 やがて、二人は隅田川のほとりで偶然再会し、寂しさや不満を忘れるために共に過ごす時間を持つようになる。その時、虫の知らせがあり、二人の関係に新たな展開が訪れることを暗示していた。


 そして、ある晩、二人は互いに欲情を抑えきれず、情熱的なセックスを経験する。その瞬間、二人は愛し合うことで心が満たされ、新たなる可能性を感じ始める。


 しかし、いつまでもこの秘密の関係を続けることはできず、二人は各々の現実に戻らなければならない。雅子と若狭は、自分たちの家庭と向き合う決意をし、お互いを応援することを誓う。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る