怖い、臭い、汚い、死にたくない。
軍務は決して無意味でも無駄でもなく、誰かがやらなければならない仕事です。しかし、本当にその暴力を行使すべきかどうかの判断は、「武力」そのものである彼ら軍人の領分ではありません。
軍人の仕事とは、殺せと言われた相手を殺し、旗を立てろと言われた場所に旗を立てることに過ぎないのです。
極論を言えば、軍人とはリヴァイアサンたる国家が振るう「剣の構成要素」に過ぎません。
しかし、個々人としてはどうか?
人類が散々磨き上げてきた暴力を行使し、また行使される中で、尊厳や生命が単なる「戦闘力」として消費されていく。その一方で、生き残るためには「個」としての意識や感覚を極限まで高揚させなければならない。
行間から染み出す暴力と生への渇望は、残酷なほど克明にその矛盾を描き出します。
兵隊稼業の辛さとは、まさにそこにあるのだと痛感させられる傑作です。
今読むべき作品です。強くおすすめします。