第4話:探索者
ダンジョンから溢れ出した魔物に、通常兵器は、ほとんど効かなくて。数百万人単位の犠牲者が出たらしい。
だけどこの世界の人間は、そこから反撃に出た。魔力に覚醒する者たちが現れるようになったからだ。
魔力に覚醒して、魔法やスキルで魔物を倒す者たちのことを、この世界では『探索者』と呼ぶ。
ダンジョンが出現してから数十年が経つと、状況は一変する。探索者の数が増えたことで、安定して魔物を倒せるようになったからだ。
ダンジョンの魔物を倒すと手に入る魔石によって、世界のエネルギー事情が一変して。ダンジョンは危険な場所というよりも、資源の宝庫として認識されるようになった。
この辺のことは
ダンジョンに入るには探索者資格が必要だから、俺は高校に入ってから直ぐに資格を取った。
探索者になるための条件は、魔力が使えることだけ。魔力に覚醒するとステータス画面が開けるようになるから、覚醒すれば直ぐに解るらしい。
探索者の資格試験は、ステータス画面を見せる方法と。魔力を実際に使って、測定して貰う方法の二つがある。ステータス画面を見せると、手の内を晒すことになるからな。大半の奴は魔力を測定する試験を受けるらしい。
俺も魔力測定で合格して、探索者になった。『
まあ、俺のステータスがバレても、この世界の奴らに、どうにかできるとは思わないけど。
※ ※ ※ ※
今日、俺が向かったのは、東京の郊外にある一級ダンジョン『A142』。
この世界にはダンジョンがたくさんにあるから、いちいち名前をつけずに番号で呼んでいる。『A』は一級ダンジョンの意味で、数字は発見された順番。
つまり『A142』は、この世界で142番目に発見された一級ダンジョンってことだ。
普通に移動すると時間が掛かるからな。俺は『
直接ダンジョンに転移した方が早いけど。『転移魔法』は一度訪れた場所にしか転移できないからな。このダンジョンに来るのは、今日が初めてなんだよ。
『A142』に到着すると、早速攻略を始める。自宅を出るときに『
どうしてダンジョンを攻略するのに、姿を隠すかと言うと、理由は二つある。一つは俺の探索者等級だと、一級ダンジョンに入れないからだ。
探索者には等級があって、自分の等級以下のダンジョンにしか入ることができない。
探索者の等級を上げるには、実績を積んで探索者協会に認定される必要があるし。しかも認定されるまでに、それなりに時間が掛かる。
そんな悠長なことをするつもりはないし。俺の実績を素直に報告したら、絶対に怪しまれるからな。
もう一つの理由は、俺が戦うところを他の奴に見せたくないからだ。別に犯罪者紛いの戦い方をするとか、禁忌に触れるとか、そんなことじゃないけど。面倒なことになるのは解っているからな。
妹の
俺は『
ダンジョンの扉を破壊しないために、『
トラップがあっても、発動するのは俺が通り過ぎた後だから無視する。
出会い頭に遭遇した魔物たちを、二本の剣で仕留めていく。範囲攻撃魔法を使った方が手っ取り早いけど、手を抜くと鍛錬にならないからな。
他の探索者が魔物と戦っている場面に遭遇したら、
俺が姿を隠して戦っても、魔物を倒せばバレるから意味がないと思うだろう。だけど俺は『認識阻害』と『透明化』を周囲に展開して、倒す前に魔物を取り込むから問題ない。
ダンジョンの魔物は倒すと消滅して、魔石だけが残る。だから魔石を回収すれば、俺が魔物を倒した痕跡も残らない。
こんな感じでダンジョンを突き進むと、深層部まで二時間も掛からなかった。
ダンジョンは階層が深いほど、強い魔物が出現するから。ここから、本格的に攻略する――って感じでもないんだよな。
この世界のダンジョンは、やたらと階層が深い
深層部で最初に遭遇したのは、ドラゴンの群れだ。まあ、
イフリートとか上級精霊に、グレーターリッチや
まあ、大体こんな感じで。俺は全部で三時間ほどで、一級ダンジョン『A142』を攻略した。
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