第408話 閑話 リスールブさん2




鍛え抜かれた肉体美。


料理教室を開く前に町にやってきた武術家 リスールブさんだ。


ガリガリに痩せているように見えるが実はマッチョだ。


格闘技が得意なのだが奇声をあげるので弟子を取れなかった。


しかし、自身の武術を生かそうと、つい最近冒険者になった。


Fランクスタートだが期待の星らしい。


今日は重りのついたチョッキを着ている。

足腰のトレーニングのために着用しているようだ。

さすが武術家だ。



彼は熱いものが好きで特にあつあつのカレーとシチューが大好きだ。


今日もうちの店にきてくれた。


おとくいさんになりつつある。



「店主、カレーとシチューをもらおう」


「かしこまりました。カレー1丁シチュー1丁」


熱々のカレーとシチューをリスールブさんにお出しした。



「おまちどうさまでした」


「うむ。いただこう」




ちゃ~~~~ん♪♪♪ ちゃちゃ~~~♪♪


「アチ~~~~~~!」



一瞬、音楽が流れたような気がしたあと、一口食べて奇声をあげた。




「アチャー アチ アチチ アチャー ホホゥ ホアー アチャー」


奇声をあげながら熱々のカレーとシチューを交互に食べている。



ホフホフ食べているが、汗がすごい。

しかし、とてもおいしそうだ。




「アチャー アチ アチチ アチャー アチーーーー!」




あ!

ほんとに熱かったみたいだ。


涙目になっている。


拳をにぎり、親指を立てて鼻を触っている。


「ホホゥ ホアー アチャー」




どうやらカレーとシチューを食べ終わったみたいだ。


「店主よ。うまかった」


「ありがとうございます」



「たこ焼きを頼む。熱々でな」


「かしこまりました。超熱々たこ焼き よろしく!」


「はいよ!超熱々たこ焼きね!」


ジュージュー


ノモコがたこ焼きを焼く。


リスールブさんは焼きたてのたこ焼きのほうが激熱だということに気づいて焼きたてを注文するようになった。



「いいにおいだ。店主よ。お好み焼きも頼む。熱々でな」


「かしこまりました。超熱々お好み焼き よろしく!」


「「「りょうかいっす!超熱々お好み焼き1丁っすね!」」」


ジュージュー


モブズがお好み焼きを焼く。


リスールブさんは柔らかめの焼きたてお好み焼き(表面カラっと中フワっと)の焼き方だと、より激熱だということに気づいて、それを注文するようになった。


「うん。いいにおいだ」



「おまちどうさまです。たこ焼きとお好み焼きです。超熱々です」



「うむ。いただく」



ちゃ~~~~ん♪♪♪ ちゃちゃ~~~♪♪


「アチ~~~~~~!アチ~~~~~~!アチ~~~~~~!」



また一瞬、音楽が流れたような気がした。



「アチャー アチ アチチ アチャー ホホゥ ホアー アチャー」


奇声あげながらたこ焼きとお好み焼きを食べている。


なにげに ものすごく細いのに大食いだ。



ホフホフ食べているが、おいしそうに食べている。

お好み焼きが口からでて、ぶら下がっている。


そこからソースがたれてリスールブさんの腕についてしまった。


すると・・・




リスールブさんは目を見開き、怒りの形相で腕についたソースを指でさわるとゆっくりと口に運び、舐めた。


「ホアー! アチャー!」


腕にたれたソースを舐めたあとは怒り狂ったように食べ始めた。






「ホアホア アチャー」


よほど熱いのだろう、顔が赤くなって目が血走っている。

でも、とてもおいしそうだ。



「アチャー アチ アチチ アチャー アチーーーー!」


あ!

ほんとに熱かったみたいだ。

たこ焼きをいっきに2つ口に入れて涙を流している。


拳をにぎり、親指を立てて鼻を触っている。


「ホホゥ ホアー アチャー」



たこ焼きもお好み焼きも完食した。



「ふー うまかった(熱さで涙)」



「ありがとうございます」




「焼きそばをお持ち帰りで頼む」


「かしこまりました。焼きそば1丁!お持ち帰り」


「あいよー!焼きそば1丁!」


ケブヤが焼きそばを焼いた。



やきそばを渡すとリスールブさんは、


「アチャー アチ アチチ アチーーーー!」


焼きそばを食べながら、奇声を上げつつ帰っていった。






ひゅ~~~~!


リスールブさんの横から強風がふいた。



「なにー!ウエイトベストを着ているのに体がー!」


足腰のトレーニングのために着用していると思ったウエイトベストは風で飛ばされない対策だった。


しかし、強風の前にリスールブさんの抵抗は無駄だった。



ちゃ~~~~ん♪♪♪ ちゃちゃ~~~♪♪


「あひゃ~~~~~~~!」



横風にさらわれて吹き飛んでいった。




「ウエイトベストって言っても ありゃたいして重くしてねーぞ もっと体重増やさねーとな」


ケブヤは飛んでいく人影を見ながらつぶやいた。





武闘家リスールブさんの風との闘いは つづく・・・




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