第400話 かき氷




冷蔵小屋を作ってもらい断熱工事をしてみるとばっちり冷凍室と冷蔵室に分けることができた。



丸い容器に水を入れて冷凍室に入れておいたら氷になっていた。


みんなに食べてもらおう。


「勇者ズにもかき氷を」と思ったが治療活動に行ってしまった。


ラトスケーオから帰ってくると教会のシスターから治療活動をお願いされたそうだ。

他領から観光にきた人が聖女の噂を聞いて教会に立ち寄るのだとか。


町の冒険者もジョイセさんの帰還を心待ちにしていたようだ。


冒険者パーティ「俺がどうぞ聞いてないよ」もケガをしたようで治療活動を待っているとのこと。


俺がどうぞパーティのケガが心配だ。



ジョイセさんの名前が王国中に広がっている。

ファンクラブの会員も増えている。


王国勇者パーティはそのうち異世界全土に名を轟かせそうだ。





町長屋敷では


家庭用の手動かき氷機を出して出来上がった氷を削っていく。


シャリシャリ シャリシャリ


チマ「へいさく殿、何をしているのだ?」

ノモ「きょうだい、氷を削って何をしてるんだ?」


ヘイ「かき氷って食べ物を作ってるんだよ」


ケブ「氷を食うのか?もとは水なんだから味なんてしないだろ」


「これをかけて食べるんだ」


赤 緑 黄色のシロップを出した。


「これはシロップと言って果物の味がして甘いんだ」



秘書ズ

「甘いんですか」

「氷がおいしくなるなんて信じられません」

「あたらしいデザートですか」


ミマファズ

「たのしみー」

「冷たくて甘いんですね」




しかし、


ノモ「さすがに氷がうまいなんてことにはならないだろ」


モブズ

「そうっすよ」

「いまどき子供でも知ってる常識っす」

「氷がおいしかったらボスみたいなツルツル頭にするっすよ」


言ったなモブズ。



シャリシャリ シャリシャリ


どんどん氷を削っていく。


「よし!完成だ」


みんなのかき氷を作って渡した。


シロップをかけていないので白い氷のままだ。


「好きなシロップをかけてね」


「俺は赤にするか」

「俺は黄色にするぜ」

「わたしは赤」


各自好きなシロップをかけた。


「では!実食!」


かき氷を食べてもらうと・・・



「あまーい!」

「つめたい!」

「うまーい!」

などなど


絶賛された。


「ゆっくり食べてくださいね。早く食べると頭痛くなりますから」


忠告したのだが・・・




「頭が痛いです」

「キーンとします」

「頭痛です」


みんなかき氷をパクパク食べて、特有の頭痛になっていた。


ヘイ「おまえら(モブズ) うまかったら頭ツルツルにするって言ったよな」


モブズ

「ジョークっす」

「オジキ勘弁してほしいっす」

「ボスみたいな頭になるのはまっぴらごめんっす」


ノモ「おめえら今日こそは許さん!ツルツルにしてやる!」


「「「お助けっす~」」」

モブズはノモコに追いかけられて逃げ回っている。


秘書ズ

「放っておきましょう」

「ノモちゃんたちは仲良しです」

「かき氷おいしいです」



「よし!かき氷を作ってみるぞ」

チマキ町長は、かき氷機で自分で作ってみたいと言い出して

シャリシャリと氷をかいている。



そこに・・・


「町長!僕は限界です。バキュームチマキ商会を辞めます」

かき氷を食べているとウアニンナイサ君がやってきた。


意を決したように強い意志を感じる。

絶対に辞めてやるという心の叫びが聞こえてくる気がする。



チマ「ウーくん、君もこれを食べるといい。きっと心が変わるはずだ」


「そんなわけの分からないもので心が変わるわけないでしょう」


チマキ町長は自分で作ったかき氷にイチゴのシロップかけてウアニンナイサ君に渡した。


「こんなもので僕はだまされませんよ。パクッ・・・冷たいけど甘い!これはおいしいですよ。パクッパクッ・・・頭が痛いー」


ウアニンナイサ君も夢中で食べて頭がキーンと痛くなっていた。



しかし・・・



「かき氷は気に入りました。もう少しだけ働きます。またかき氷を食べさせてください」



チマ「もちろんだ。頭がキーンとするほど食べるといい」




ーーーーーー

その後


働いた後のウアニンナイサ君

「今日も元気にカキ氷がうまい。パクッ・・・仕事のあとのかき氷は最高だー!パクッパクッ・・・頭が痛いー」


ーーーーーー



ウアニンナイサ君はかき氷を大好きになって、仕事のあとのかき氷を楽しみにブラックな職場でも頑張るのだった。

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