第399話 閑話 シングルファーザーウルフ5




トンカン トンカン

トンカン トンカン


町長屋敷のほうからトンカチの音が店に響いている。


いま大工さんが町長屋敷の庭に冷蔵小屋を作っている。





今日は雲一つない いい天気だ。

営業日和というやつだろう。




ここはルフダンワ亭。



持ち帰りで買っていたお得意さんがお店で食べるようになった。

ウトイミガオさんとロゴイダくんだ。


先日、ロゴイダくんがナンパ少年?青年?だったことにショックを受けたミガオさんは一緒に食事をしてナンパをやめさせようと ヤキモキしてるところだ。(第364話参照)



いまもお店で親子仲良く食べている。


「ロゴイダ。女性を口説くのをやめないか・・」

「ちゃん ナンパのことをいってるの?」


「そうだ・・・ やめてくれないか」


「うーん・・・やめないかな」

「なぜだ・・」


「ちゃんが食べ物を平等にしないからだよ だからナンパしてごちそうになってるんだよ」


ロゴイダくんは、いかがわしいことを目的としている訳ではなく 単にひもじいので食べ物をごちそうしてもらうためにナンパしてるとのこと。


「しかしだな、女性を口説くのは・・・」

「ちゃん 俺の食べるものを多くしてくれたらやめるよ」


「しかしだな ロゴイダは子供だ 食べすぎはよくない・・」

「ちゃん・・・いや オヤジ おれ20歳なんだぜ 子供の食べる量じゃ足りないんだよ それならさ別々にソロで冒険者になろうよ」


「それはこまる!・・」

「そうだろうね。ちゃんは索敵出来ないもんね。魔物に突進しかしないからソロになったら死んじゃいそうだよね」


「幸福天道の道を別々に歩むのは困る・・・」



なにやらロゴイダくんが人生の道を別々に歩もうとか言いだしてる。


親子で話し合いをしてるけど 悪いのは明らかにミガオさんだ。

ロゴイダくんにお腹いっぱい食べさせてあげたら解決する話なのに。



そうこうしていると、

「ふう 今日はいい天気だね。サイダーお願いね」

常連のお客さんがきた。


そして、その常連さんをみたミガオさんは・・・








「きさまはドツレウギュヤ!」

ミガオさんが叫んだ。


いつも温厚で無口なミガオさんが叫んだので驚いた。



「おお ウトイミガオさんじゃないか久しぶりだね なに?貴様?」


この常連のお客さんがウギュヤさんだったのね。

白髪の50代後半だけど元気でよくしゃべる人だ。



ウギュヤさんは「なんで貴様って呼ばれたの?」と困惑顔だ。



ロゴイダくんは我関せずで相手にしないで食事をしている。

いまのうちにたくさん食べておこうと思っているのかも知れない。




うちの店で元嫁と逃げたと思われる仇敵と鉢合わせになったミガオさん。


ルフダンワ亭で初めての恋のいざこざ修羅場が起こるのか。



果たして 幸福天道を目指す親子の旅はどうなってしまうのか!




つづく・・・








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