第150話 チマキ無双
王族ズと宴会のとき、秘書ズが酔っぱらって言ってたっけ。
--------回想
秘書ズは急に泣き出し
「1週間、徹夜で仕事しないと~ うわ~ん」
「書類が山のようになってます~ 確実に わ~ん」
ブラックな職場を嘆いていた。
一週間徹夜って・・・どんだけ仕事ため込んだんだろう。
--------
1週間徹夜するほど仕事をため込んだのはこの情報収集のためだったのだろうか。
それとも単にチマキ町長がサボっていたから仕事がたまったのだろうか。
ふだんから秘書ズ2人の仕事量は半端ないから分からないけど、もし情報を掴んできたなら、スペシャル級だ。
秘書ズは超優秀だからね。
しかしチマキ町長は なんてザンネンな人なんだろう・・・
そう思っている間にも
「まて!15歳までおねしょをしていたニゼクブア」
もう子爵の長男を完全に呼び捨てだ。
ニゼクブアは泣きそうだ。
「こ、こんどこそ失礼します」
「まて!15歳までおねしょをしていたニゼクブア」
ニゼクブアは帰ろうとするがチマキ町長は逃がさない。
「だから15歳までしてない!」
「ほぼ15歳までしてただろう!正確には14才と11か月29日まで おねしょをしていただろう。ならば100歩ゆずって、大サービスして、14歳までにしよう! 14歳までおねしょをしていたニゼクブア。わたしはこの町を絶対に守る!」
15歳まであと1日だったのか。
そこまでよく調べたね。
「ぼっちゃん14までしてたんですか」
「くっ し、しつれいする」
否定しないのか。
間違いなく14までしてたな。
ニゼクブアは泣いている。
「まて!14歳までおねしょをしていたニゼクブア」
「話は終わったのだから、わたしはもう失礼する!」
ニゼクブアは涙を流しながらが馬を反転させる。
しかし・・・
「まて!14歳までおねしょをしていたニゼクブア。正義は勝つのだ」
まだチマキ町長は逃がさなかった。
反転した馬はチマキ町長の声でこっちに向き直る。
馬(ツコンポちゃん)と子供の頃からふれあってきたチマキ町長の言葉は
馬に届くのかも知れない。
ニゼクブアの戦意はゼロになっていた。
反論する気力がなくなり馬の上で膝を抱えて体育座りをしている。
「ち、チマキ町長。もう許してあげましょう」
「ヘイサク殿。なぜ14歳までおねしょをしていたニゼクブアを許そうとするのだ」
いやいや。普通わかるでしょ。
知られたくない過去のキズを触れられるだけでも精神がやられるのに
話の始めに必ず「おねしょをしていたニゼクブア」ってつけるから
キズ口を広げて、えぐって、切り裂いて、塩を塗り付けてることに気づかないのかな。
この場で兵士たち(100人)にも聞かれてるし あの様子だと領地に帰ったら町中におねしょの話がひろまるぞ。
たぶん「14歳まで おねしょをしていた もじゃりんこヘッド」で広まるはずだ。
「男爵どの。それくらいで許してもらえないか。ぼっちゃんはもう廃人寸前だ」
兵長さんが間に入る。
「うわーん」ニゼクブアは泣きだした。
30すぎのおっさんが号泣している。
取引品物をかすめ取られたり、けっこうな悪事を働いてきたんだろうけど、なんか可哀想に思える。
兵団を連れてきた子爵家の長男を泣かせてしまった。
おれはどうしたらいいんだ・・・
スイッチが入った町長は止められなかった。
これだから黙っててもらいたかったんだよ。
町長は残念すぎる。
「ぼっちゃん元気出してください。おねしょがなんですか。みんな子供のころはするもんですよ・・・。で、14までしてたんですか?」
「うわーん」
と兵長さんに慰められながらニゼクブアは帰っていった。
--------後日譚------
「ニゼ出てこ~い!」
ドン ドン
ネカオ子爵はドアを叩く。
「・・・・」
しかし、返事はない。
「ありゃダメだな。とうぶん出てこないだろう」
「誰だ?ぼっちゃんをあんなにしたのは」
「なんでもペッリギニ町の代官だそうだ」
「あのチマキなんとか男爵か」
「言葉だけで廃人にされたそうだぞ」
「それは こえーな」
領地に帰ったニゼクブアは しばらくの間 部屋に籠城し出てこなかった。
次期、子爵家当主となるべき男を言葉だけで廃人寸前までおいやった。
子爵家の兵士たちはチマキテイカ男爵に一目おくようになった。
チマキ町長は
ちっちゃなころから ワルガキではなかったが 15で(成人して)不良と 呼ばれなかったが
ナイフみたいにとがって ふれるものみな (かんぷなきまで)キズつける
その姿に
ついた二つ名は・・・
「ギザギザハート」
子爵家の兵士たちはチマキ町長をギザギザハートと呼び、恐れるのだった。
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