第151話 閑話村長、町へ行く
ゴブリン騒動のあとの話。
ガーリ村長は「ある用事」で町へ向かった。
しかし、ガーリ村長は高齢だ。
歩きで町まで行くのは大変なので日差しよけに深々と麦わら帽子をかぶりトラクターで町に行った。
ペッリギニ町に入ると町民たちが騒ぎ出す。
「あれはクロヒョウか?」
「クロヒョウだ!」
「まて!あんなじいさんがクロヒョウなのか?!」
「違う あれはクロヒョウに助けられたじいさんだ」
「クロヒョウがじいさんに従魔を貸してるんだ」
村長はほとんど町に来ないのもあるが深く麦わら帽子をかぶっていて、村長だと分からなかった。
麦わら帽子の老人(村長)に町民たちが聞いてくる。
「クロヒョウってどんな人なんだ?」
「クロヒョウはどこにいるんだ?」
「クロヒョウに助けられたんだろ?」
質問攻めにあう。
「クロヒョウですじゃか?かっこいい名前ですじゃ。どこにいるか分かりませんじゃ。わしも若ければ憧れますじゃ」
「居場所は秘密にしてるのか」
「クロヒョウはそんなにかっこいいのか」
「やっぱりクロヒョウはかっこいいのよ」
村長はクロヒョウという「名前がかっこいい」と答えたのだが
町民たちは「クロヒョウはかっこいい」と勘違いするのだった。
・・・・
「ある用事」とは
ゴブリンの襲撃のとき軍団を率いて警備してもらったお礼だ。
ガーリ村長はチマキ町長にお礼にきたのだ。
町長の屋敷に入る。
「クロヒョウよくきたな」
チマキ町長が出迎えてくれた。
「クロヒョウ?(はて?町民も何か ゆうてたけど分からんから ええじゃ)従魔に乗ってきましたじゃ」
「そうか、先日はゴブリンの襲撃、災難であったな」
「その説は町長自ら警備していただき感謝しますじゃ。そんで今日は そのお礼に来ましたじゃ」
「礼など不要だ。町長として当然のことをしたまでだ」
「そうですじゃか。では、持って帰りますじゃ。いやいや町長は素晴らしいお人じゃ。そんじゃまた」
ガーリ村長は天然だった。
「まてーい!せ、せっかく持ってきたのだ。ありがたく受け取ろうではないか」
「いやいや、不要なのにおいていったら 申し訳ないですじゃ。そんじゃまた」
「まてーい!必要だ!欲しいぞ村長!ありがたくもらうぞ!」
「そうですじゃか。では、受け取ってくだされ。村で採れた じゃがいも さつまいも とゆう作物ですじゃ」
「危なくもらいそびれるところだった・・・ほう。見たことない作物だな。これはうまいのか」
「おいしいですじゃ。ヘイサク様がくださった奇跡の作物ですじゃ」
「なに!ヘイサクどのが!」
「そのイモで作った食べ物がこれですじゃ」
町に来る前に作った できたてのチップスとふかしイモも大量に持ってきた。
「これは食えるのか?」
「食べれますじゃ。ほっぺたが取れるほど おいしいですじゃ」
「ほっぺが落ちる、ではなく取れるほど おいしいのか!」
チマキ町長は1つチップスを食べた。
サクサク
「うまー!」
そして、ふかしイモを食べた。
ホフホフ
「こっちはホコホコだ。うまい!」
よほどうまかったのだろう ガツガツ 食べ始めた。
「気に入ってもらえてよかったですじゃ」
「これは素晴らしい!」
ガツガツ
「この作物を売りたいのですが」
「ぜひ売ってくれ。町で販売してもらえると嬉しい」
「ありがとうですじゃ。村も作物が取れるようになり食べ物に困らなくなりましたじゃ」
「よかったな。父と親友だったガーリ村長の村が豊かになるのは、わたしも嬉しい」
チマキ町長は心の底から喜んだ。
・・・・
ガーリ村長は村に帰るとき
「クロヒョウによろしく」
「おじいちゃん まっすぐ帰るんだよ」
と町民から送り出された。
「ありがとうですじゃ。クロヒョウに会ったら伝えますじゃ」
町長屋敷では
サクサク サクサク
ホフホフ ホフホフ
「うまうま!」
「こんなにおいしいものが村で出来たんですね」
「いまのうちに食いだめしましょう 確実に」
町長は秘書ズと ともにチップスをむさぼった。
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ナレーター まだ無名の新人
村の作物を売るため
ガーリ村長の奥さんのサミシさんが「サーゼリ商会」を作り
町で作物の販売を始めるのは 少し先の話
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