第145話 ドライアドがくる2




ガーリ村長のところにドライアドを連れてきた。


「その子たちは?」

「ドライアドです。森の中から出てきたので連れてきました」


「森の精霊さまですじゃ」


村長に気づいたドライアドたちが騒ぎ出す。

「こっちにも人間がいます」

「ほんとです さっきと違う人間です」

「ウルトラな人間です」

「新しい人間です」


俺のうしろに隠れながら村長を見ている。


「この人間 枯れかかってます」

「この人間 年寄りです」

「この人間 ウルトラおいぼれです」

「この人間 長く生きてます」


お、おいおい。

アーちゃんは救いがあるね。



「ヘイサクさま。精霊さまはなんといってますじゃか。

わしには キャッ キャッ としか聞こえないですじゃ」


そうだった。話せないんだった。


「枯れかかった年寄りのおいぼれと言ってますよ」とは言えない・・・


「か、貫禄あるっていってます。村の代表らしい人っていってます」


「精霊さまは分かってくれるのですじゃな」


ドライアドは、またしても素直すぎた。


そのあと村長はトラクターで畑を耕すとドライアドたちに

かじりつかれていた。


「おお よしよし。かわいい精霊さまですじゃ」

ガーリ村長は子供をあやすように対応している。


しかし、ドライアドたちの会話は・・・







「枯れた人間 いい土にしています」

「年寄り人間 土を操ってます」

「ウルトラ老いぼれ人間 土をふわふわにします」

「柔らかい土は気持ちいいです」


と言っている。


「ヘイサク様。精霊さまはなんといってますじゃか」


「え、えと。土を自由に操るすごい人だといってます」


それを聞いて村長は上機嫌に畑を耕すのだった。




・・・・




「この土は最高です」

「この土は極楽なのです」

「この土は栄養ウルトラです」

「この土は花が生き生きします」


クサゴタさんの肥料は畑に巻いて土と混ぜるとすぐに肥えた土になる。


ドライアドたちは肥やしをまいて耕した畑の中に潜っている。

顔を出して、頭の花がゆれている。


畑の中をあちこち移動してお風呂のように入浴を・・・畑浴を楽しんでいた。




ドライアドは素直すぎるが悪気はない。

クサゴタさんと村長を気に入ったみたいだ。



「俺はヘイサクね」


「いい人間 ヘーサクです」

「優しい人間 ヘーサクです」

「スーパーな水 ヘーサクです」

「恩人 ヘーサクです」



うんうん。これなら2人の名前も教えたら失礼なことは言わないかな。



「あの人はクサゴタさんで、こっちはガーリさんね」

いちおう、ドライアドに教えておいた。



「「「「わかったのです」」」」




分かってくれたみたいでよかった。



















ドー「う〇ちクサゴタ と 枯れたガーリ です」

ラー「肥やしクサゴタ と 年寄りガーリ です」

イー「スーパー危険クサゴタと ウルトラおいぼれガーリなのです」

アー「クサゴタさん ガーリさん 2人ともいい人間です」



わかってないのが3人いるね・・・



やっぱり アーちゃんが一番、会話できそうだ。





------

ドライアドは村の畑が気に入って、たびたび遊びに来るようになる。

村人にも なついて畑をお風呂のように もぐりにくるのだった。

そしてドライアドが潜った畑は「精霊の加護」で作物の収穫が倍増するのだった。

------


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る