第146話 伯爵の息子




ドライアドが人前に来るのはめずらしいことみたいだ。


村長もクサゴタさんも嬉しそうだった。





上級薬草が完成したので伯爵のところにもっていこう。




・・・・



ゴブリン騒動があったのでお店は臨時休業にしてある。



町長の屋敷にいくと



「ゴブリン大丈夫だったかい?」

「ごめんなさい。力になれなくて」


王子王女があやまってきた。



王族ズは酔いつぶれて寝ていたので町長も起こさなかった。



「王子王女。領地の問題ですので大丈夫です。ヘイサク殿は強い」



「王子。飲みすぎはいけませんよ」

王子に飲みすぎを指摘した。


「面目ない。酔っぱらって眠ってしまったね」

王子は飲んで眠ってしまったと思っている。


「王子、裸になって踊ったことを覚えてないんですか」


「王子の僕が裸踊りをするはずないだろう。 下ネタをいうことがあってもそれはないぞ」

本当に覚えていないようだ。

それならいいか。


「兄さまには もっとしっかりしてもらいたいわ。わたしは止めたのに」

え?王女は裸踊りをとめたと思っている。

まあ。それでいいか。



護衛隊も見なかったことにしたいだろうし。

俺たちも黙っていれば大丈夫だ。





・・・・




回復薬をもって町長ズと伯爵のところへ。


王族ズも同行した。


ノモコも伯爵を心配してたので連れていく。



伯爵の屋敷に着くと

草ボーボーの敷地から伯爵が出てきた。


「伯爵さま。薬をご用意できました」

「ほんとうかい。ありがとう。これで息子は助かる。こっちだよ」


ご子息のところへ案内してもらう。


部屋に入ると10才くらいの子供が寝ている。


「・・・どちらさま・・・ですか」

子供が聞いてくる。

伯爵の子息だ。

意識はある。


「熱があってね」

伯爵婦人が子息を看病している。


「回復薬を用意できましたのでおもちしました」

子息と婦人に話す。


鑑定の許可をもらって 見ると

タカユ・ゲキワ 強さ20 魔力80 スキル・ウォーターウォール 状態病気


子息は水魔法スキルをもってる。

子供だけど強い 魔力もすごい

さすが貴族だ。




上級回復薬をわたして飲ませてもらった。


子息の身体が光る。


「身体がうごきます」 


子息が起き上がった。


「よかった。ゲキワ」

「動けるのね。ああ 奇跡だわ」

「ちちうえ ははうえ ご心配おかけしました」


伯爵ズが抱き合って喜んでいる。


「うぅ うぅ よかった。すごく嬉しいことだね。僕の股間も嬉し(むぐむぐ)・・・」

王女がだまらせた。


「ぐすん よかったわ」

王族ズは感動して泣いている。


王子はアホだけど。



「よかった。ほんとによかったぜ。うー うー」

ノモコも涙と鼻水が滝のように流れている。





「あは うー あは あは よかった。 うー あは」


笑ってるのはだれだ?


チマキ町長が涙を流して満面の笑みで笑っている。

きっとゲキワくんの回復を喜んで笑っているのだろう。


「チマキ町長。伯爵さまのご子息が回復して喜んでるんですね」


「ヘイちゃん。違います。これは泣いてるんです」

「サックー。これは心のそこから泣いている顔なんです。確実に」


え! え! これで?

思いっきり笑ってる顔してるよ?


「チマキちゃんは泣くと笑ったような顔になるんです。すごく残念な人なんです」

「前町長(チマキ町長の父)がなくなったときも笑ってると勘違いされて大変だったんです。確実に」


酒飲んで「びえーん」って泣いてたときは心の底から泣いてなかったのか。

机を叩いてて良く見えなかったのもあるけど。


しかし、知れば知るほど・・・ざんねんな人だ。



「このたびは 僕のために高価な回復薬をありがとうございます」

ご子息ゲキワ君がお礼をいう。


すごくしっかりした お子だ。


「いえいえ。良くなってなによりです」


「心からお礼を申し上げます。僕に出来ることがあったら力になります。

言い値で力になったりは出来ませんが」


おお。救世主だ。


しっかりした執事か家令が必要だとおもったけど、お子が優秀だ。


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