第140話 ユンボスキル




ヘソマさんがスキルを覚えてしまった。


いつもなら複雑な気分になるけど

今回は超うれしい。


アラフォーに武術を教えなくてすむからだ。


「おめでとう!ヘソマさんすごいよ」


「うぅ 師匠ありがとう!おれ師匠についてきてほんとによかったよ」

ヘソマさんは号泣している。


たびたび「武術 武術」とつきまとわれていた。


やっと解放される。



「ヘソマさん ステータスオープンって言ってみて」


「すてーたす おーぷん」


いちおうヘソマさんに確認してノモクロで鑑定する。

ガーリ・ヘソマ 強さ3 魔力30 スキルなし 健康


最上薬草のときに鑑定したけど、魔力は高いけど弱い。



異世界人には地球の機械と相性とかあるのだろうか。


魔力の高さだろうか?


いろいろ考えていると


スキルの詳細がわかったみたいだ。



「おれのスキルはユンボを操るスキルだよ 魔力でユンボを操作できるんだ」


ユンボのクラクション 移動スピード 掘り起こす強さ シャベル速度など ユンボを操作できるそうだ。


ユンボに乗ると四角のバリアに包まれて身を守れるとのこと。


ちょうど大型のユンボ等にある運転席のようにバリアが出来るみたいだ。


ユンボ本体が壊れても時間をかけて自己修復するそうだ。

ガーリ村長のトラクターと似ているね。


壊れても自動で治るって ほんとすごい!


ただ魔力がなくなるとバリアも消えて動かせないみたいだ。




俺がもってる燃料20Lはいつ消費できるのだろうか。






「もう武術は教えなくてもいいんですよね」

念のためヘソマさんに確認する。


「おれユンボ使いになるよ。武術はあきらめる」


やった!


「村の工事はおれにまかせてくれ」

ヘソマさんは嬉しくて仕方ないみたいだ。


掘りを作る工事はヘソマさんに任せることにした。



ガタンゴトン ガタンゴトン





やっと解放された。




・・・・



翌日


お店はしばらく臨時休業にした。ゴブリンの警戒と村の防備強化を手伝うためだ。



「ヘイサク殿。わたし自ら出陣してきたぞ。村の警備はまかせたまえ」


「は、はい。心強いです」


ケブヤとノモコズは町に帰ってチマキ町長がツコンポちゃんに乗って伯爵の領兵を率いて村を警備していた。


町の代官(領主代行)が自ら村にきていいのかと思ったが、チマキ町長のところは万年人手不足だった。秘書ズ2人しかいない。

伯爵本人(領主)も自領にいることだし、仕方ないのだろう。

兵士の隊長(兵長)がいるのかと思ったが伯爵領にはいない。

しいて兵長っぽいのは秘書ズのショーヒさんだけど、そこまで兼任させたら

過労で倒れてしまう。


なので町長自ら出向いてきたのだろう。


秘書ズは書類仕事が山のようにあるみたいだし、

それに、スキルがある秘書ズを町に残した方が何かあったとき戦力になるからだと思う。



チマキ町長は二日酔いでつらそうだ。

へべれけ2度目だからね。

もうこりてほしい。




休憩のときに村人や兵士に

ストックしておいたお好み焼きをふるまった。


「うんめーだ」「ごちそうだで」


「小麦焼きの革命だ」「小麦焼きの新しい味だ」


大好評で、みんなさらにやる気が出たようだった。







・・・・




ミニユンボはヘソマさんにゆずったので

村の入り口に門を作る手伝いをしていると


「へいさくさま。おらに武術を教えてくれ」

トンチキくんがやってきた。



どうやら

ゴブリンが村を襲ってきたとき 何も出来ずに避難していたことを

くやんでいるようだ。


クサゴタさんがケガから回復した息子を避難させていた。


しかし、ミマファズが出て行ったとき

トンチキくんも避難所から出てきて物影からヘイサクの戦いをみていた。


「おら 強くなりてーだ」


さっきやっとヘソマさんから解放されたと思ったが

今度はクサゴタさんのせがれさんだ。


たぶんだけど、ずっと「武術 武術」と言い続けるだろう。


どうしたものか・・・。



適当になんとかなることはないだろうか・・・。



そうだ! いいことを思いついた。




武術を教わりたいというトンチキくんに

適当に教える方法を思いついた。


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