第122話 デラックス貯金箱
「!」
いいことを思い付いた。
「子爵さまにこれをお譲りいたします。凄腕の錬金術士が作った魔道具でごさいます」
「ほお どんな魔道具なのだ」
「はい <デラックス貯金箱> といいまして目標金額を設定して大量のお金を入れることができます」
「こんな小さな箱では ろくに入れられないだろう。貧乏人や子供のおもちゃではないか」
チマキ町長とノモコが何か言いたそうにするが手で制して話を続ける。
「いえ この貯金箱は魔法袋を応用して作られているので子爵さまのようなお金持ちにふさわしい貯金箱です」
「魔法袋の応用とな」
「はい。貯金してある金額が表示されますから数えなくてもいくらあるかすぐにわかります」
「それは便利だな。数える楽しみもあるが見てすぐにわかるのはまさに魔道具だ」
「手元にお金をおいて置けます」
「魔法袋に入れてあるがこういった魔道具に貯金するのも悪くない めずらしいものは大好きだからな ふぉっふぉっふぉっ」
「さすが子爵さま。価値をお分かりでいらっしゃる」
「よし。金貨30枚で買ってやろう」
思い通りになったからか子爵はごきげんなようだ。
「そうそう。くれぐれも貯金箱を明けるときはご注意ください」
「なぜだ」
「設定金額に達しないと爆発するからです」
「ふぉっふぉっふぉっ 面白い冗談だ」
「はっはっは。失礼しました。明けるときはご注意ください。それに、だれかに見られたら危険ですから」
「そんなことか大丈夫だ 防備は備えてある」
「それなら安心です」
「実はな いくらあるかわからないのだ あまりにありすぎて数えるのをやめていたからな ふぉっふぉっふぉっ」
「さすが子爵さま。設定金額は金貨200000枚(2000億円)にしてみてはいかがですか」
「それは面白いな」
「では わたしたちは失礼します」
ヘイサクたちは屋敷を出た。
「早く町を出よう」
「たしか爆発するのだったな」
「あれが爆発する貯金箱か」
チマキ町長とノモコにはデラックス貯金箱の話はしてあった。
しかし、危険なので見せてなかった。
ケブヤたちと合流して子爵邸での成り行きを話して
急いでドンセシュ町を後にした。
・・・・
ネカオ子爵は金額設定して長男ニゼクブアと貯金しはじめた。
「父上。うまくいきましたね」
「調べてみたら貧乏伯爵のところの行商人だったとは。前回は高値で買わされたからな。今回は10倍返しにしてやったぞ。ふぉっふぉっふぉ」
「ただ同然で調味料を大量に。それに貴重な魔道具も手に入れましたね。うはっうはっうはっ」
「大判振る舞いで金貨30枚で買ってやったのだ。あいつらも泣いて喜んでおるだろう。ふぉっふぉっふぉっ」
「半値にして、さらにもどき薬を残りの半額で売っておいてよくいいますね」
「おまえも顔がにやけているぞ」
金貨140枚以上の調味料を回復薬もどき1本で手に入れて子爵ズは上機嫌だった。
「これからも我が子爵家が安泰かと思うとニヤけますよ」
「お主も悪よのー」
「父上にはかないませんよ」
「ふぉっふぉっふぉっ」
「うはっうはっうはっ」
ネカオ子爵と長男ニゼクブアが
悪代官と越後屋のような会話をしながら貯金していた。
「しかし面白いように硬貨がはいるな」
ジャラジャラ ジャラジャラ
子爵はデラックス貯金箱に流し込むように全額貯金した。
「金貨100000枚(1000億円)を越えていたか。王国一の金持ちはわしだ。ふぉっふぉっふぉっ」
そして
「父上。そういえば明日、フードの商人が来る日です」
「そうだったな 総資産もわかったことだし少し貯金箱から出すか」
子爵はデラックス貯金箱を開けようした。
そのとき!
ボガーーーーーーーーーーン!
・・・・
街道をボロ馬車で移動していると子爵邸で爆発する音がきこえた。
・・・・
町中では
「何があったんだ」
「子爵さまの屋敷が吹き飛んでるぞ」
「隕石でも落ちたのか」
町民が騒いでいる。
・・・・
子爵邸では
「貯金箱が粉々だぞ!わしの金貨はどこだ!・・・わたしの屋敷が!全財産が~!」
顔中すすだらけでアフロになったネカオ子爵が四つん這いorzになり叫んでいた。
「本当に爆発した!・・・ちちうえー!」
長男ニゼクブアもアフロになって口から煙を吐きながら叫んでいた。
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