第106話 ブーメラン弓矢
モブ3人がスキルを覚えた。
ほんとうらやましいね。
ドンセシュ町から帰ってきてから
魔道具士グウドマさんからもらった訳のわからない魔道具をどうするか考えていた。
デラックス貯金箱は危険すぎて試すことは出来ないので なるべく触りたくない。
ブーメラン弓矢も誰かにあげる訳にもいかない。
でも、ブーメラン弓矢なら試してみるのもいいかも。
ためしに空に向かって弓を射ってみた。
ヒュン!
勢いよく空中に飛んだが、途中で向きを変えて戻ってきた。
危ない!
サッ
ビシュ!
避けると地面に矢が刺さっていた。
これは危ないよ。
もし、武器屋に売ったりしたら・・・
ーーーーーー 妄想劇場2
ブーメラン弓矢
デラックス貯金箱で家も財産も吹き飛ばしてしまった家族は絶望にうちひしがれていた。〈妄想劇場1第86話参照〉
しかし、人は倒れたままではいられない。
立ち上がり歩まなければならない。
おやじは新築で家を建てた。
60年ローンを組んで立派な住み家を手に入れた。
孫の代までローンを払うことになるだろう。
「新規一転 気持ちを切り替えて頑張ろう」
「そうね。あなた」
「おやじ!おふくろ!」
家族3人は力をあわせて頑張った。
ーー5年後ーー
ローンを返しながら わずかだが、蓄えができた。
おやじは稼ぐため冒険者になった。
5年の歳月でAランクになった。もうすぐSランクになれる。
息子は30歳になり、嫁をもらい孫が生まれた。
「わたしに冒険者ができるとは思わなかったよ」
45歳で冒険者になり、遅咲きだったがすごい才能があった。
多額のローンを背負いながら弓士として家族を養うその姿に ついた二つ名は〈ローンアーチャー〉
「あなた、ローンも順調に返せてるわ」
「おやじ、俺も子供生まれたしな」
「妻と息子よ。明るい未来が見えてきたな」
おやじはSランクを目指して新しい弓矢を買うことにした。
武器屋
「この弓矢を買う」
「お客さん その弓矢はブーメ・・・」
「店主よ。弓矢のことはよくわかっている。みなまでゆうな」
「そうですか。お客さんがそうゆうなら 何もいいませんぜ。その弓矢はもうお客さんのものだ」
「いい買い物をした」
ブーメラン弓矢で初戦闘
「うぎゃー!ひざが!ひざに矢が!なぜ矢が戻ってくるんだ!」
おやじはブーメラン弓矢で自分の膝を射ぬいた。
このケガが原因で冒険者を引退。
〈もうすぐSランクの冒険者 膝に矢を受け 町でスローライフ〉
という物語が・・・
「ローンが!住宅ローンが!あと55年あるんだー!」
「あ、あなた!」
「おやじー!」
「お義父さま!」
「おぎゃあ!おぎゃあ!」
・・・始まることはなかった。
この家族の苦難はつづく
ーーーーーー 妄想劇場2 完
とか なりそうなんだよな。
使い道あるかな・・・
まてよ! これって
もう1回、空に向かって矢を射った。
ヒュン!
やっぱり向きを変えて戻ってきた。
サッ
今度はよけなから つかもうとしたが つかめず 矢は地面に刺さった。
やっぱりだ。
ブーメラン弓矢で鍛練ができる。
矢を見極める練習になる!
店の裏で弓矢の鍛練をしていると
矢をつかめるようになってきた。
10回中3回くらいつかめるようになった。
勝手口に向かって矢を射るとケブヤが扉をあけた。
ケブヤに刺さると思ったがケブヤの目の前で向きを変えて戻ってきた。
「ヘイサク何してんだ。あぶねーだろ」
ケブヤに怒られた。
ブーメラン弓矢の話をすると
「これが例の弓矢か。よし。実験してみるか」
ケブヤが土魔法で四角の盾をつくり
ケブヤに向けて矢を射る。
徐々に近づいて実験してみる。
どこまでの距離でブーメランしなくなるか。
盾なしでやってみたり といろいろ実験した。
結果、相対する距離(2m)くらいまで実験したが、すべて矢は戻ってきた。
「こいつは他人や障害物にあたらず自分にだけ戻ってくるんだな」
ケブヤも驚いている。
それから、ケブヤも矢の鍛練をすると言い出し
しばらくの間、二人で矢を避ける練習と つかむ練習をするのだった。
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