第108話 キース・ネカオ子爵




「きさまら!子爵さまの前だぞ。挨拶しろ!」

ネックレスに驚いて棒立ちになっていると兵士が怒る。


「失礼しました。わたしは行商人のヘイサクと申します。こちらは友のものでございます」


片膝をついて挨拶する。


マッキーとノモコも続く。


「錆びない金属製品とガラス製品を持っていると聞いたぞ。見せるがいい」


「はい。こちらでございます」

品物を見せる。


「おお すばらしい。フードの商人からはもう手に入らないと聞いていたがまだあったではないか」


フードの商人って もしや・・・


「わずかではありますがステンレス製品とガラス製品はございます」


「そうか。今日だけの特別な品ときいたが。他には何がある」


「はい。ございます。こちらは特殊な素材で作った履物でございます」

サンダルを見せた。


「これが履物か。なんという軽さ。みたこともない材質だ。足が楽だ。とても柔らかい。これは屋敷内で履くのにちょうどいいな。よし すべて買おう」



「ありがとうございます」

いくつもっているかと聞かれたのでステンボール20個 ガラスコップ30個 サンダル20個と答えた。


「おそらくこれが最後の品物でございます」

「もう手に入らないということか」


「はい」

「では錆びない金属は銀貨20枚 ガラス品は銀貨30枚 サンダルは銀貨20枚でどうか?」


え?すべて1個銀貨1枚の計算?



俺からしたら1個100円の品が1万円になるからうれしいけど

バーゲンセールではないのだ。


異世界での価値を考えたらとても売れない。


サンダルはしかたないとしても

ステンとコップの価値はキース領に来る前にノモコと話して計算してある。


子爵が提示した金額よりも最低でも10倍以上の価値はある。


マッキーもノモコも子爵を睨みつけるようにみている。



「子爵さま。ご冗談を」


「ふぉっふぉっふぉ。冗談ではないぞ」



「・・・」



うわさから強欲だと思ってたけど 聞きしに勝るね。



「申し訳ありません。その値段ではお譲りできません」


「ふぉっふぉっふぉ。その値段で売ってもらう」


頭に来た!ふっかけてやる。


「子爵さま。ステンとコップはすべてセットになっています。全部で金貨10枚はいただかないと」


「ふぉっふぉっふぉ。それはダメだな」


キンキラじいさん子爵め。


伯爵と話をして王都のギルドもしくは王宮に交渉すれば相応の金額で取引してくれるといってたし、なんならオークションという手もあるらしい。


珍しいものだから そっちのほうがいいかも。

取引やめようと思った。

 


「では取引は無しとゆうことで」


「きさま! 子爵さまに無礼な! 庶民の分際で貴族に盾つくか!」


「身分の前に物の価値が分からない方とはこれきりです。わたしは商人です。儲けるために仕入れ儲けるために売る それだけですから それでは」


「きさま 無事にここから出れると思うなよ」


子爵の兵士たちが剣に手をかける。



「わたしたちはご領地から帰る途中、賊に襲われましたが撃退しました。身を守れないほど弱い商人ではありませんよ。剣を抜いたら わたしたちも覚悟を決めます。第二王子と王女さまとは知り合いでしてね。生きて帰れたら襲われたことを報告させていただきます」


そういうと子爵の顔色が変わった。


それにスマホを持ち歩いているんだ。

録音してある。

もし襲われたら録画にして戦闘状況を記録するのもいいかも。





「ま、まて」


「残念ですが今回はご縁がなかったとゆうことで」


「ま、まて。さきほどのは冗談だ。争うつもりはない」



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