第95話 閑話 ラビットスレイヤー





トコ トコ トコ トコ 



フルプレートアーマーに身を包んだ冒険者がルフワンダ亭に向かって歩いてくる。





「ふわふわアンパンを買いたい」

「はい。ふわふわアンパンですね」



「4つ頼む」

「はい。まいどありがとうございます」


この人はホーンラビットを専門に狩る冒険者だ。


平原にはホーンラビットが多いので少し前にこの町に流れてきたらしい。



「ラビットスレイヤー」と呼ばれている。


うちのお店のお得意さんだ。



なんでも昔、家族がホーンラビットにツノでおしりを刺されて

生死の境をさまよったとか。


それで心を病み、ホーンラビットのみを狩る冒険者になったと噂されている。



無口で最低限の要件しか言わない。


フルフェイスの中の素顔は誰も見たことがないらしい。



ミマファズはラビットスレイヤーさんが苦手で俺がいないときはケブヤに接客を任せている。




「また来る」

「お待ちしております」


「ホーンラビットか」

「は?」


「ホーンラビットが俺を待っているのか」

「いえ。違います。またのお越しを、、お待ちしております」


「そうか」

「はい。ではお気をつけて」


「ホーンラビットか」

「は?」


「ホーンラビットに気を付けるのか」

「いえ。違います。冒険に、、気をつけてください」


「そうか」

「はい。いってらっしゃいませ」



「ホーンラビットか」

「は?」


「ホーンラビット狩りに いってらっしゃいませということか」

「いえ。違います。このあとの用事に、、いってらっしゃいませ」


「そうか」

「頑張ってくださいね」



「ホーンラビットか」

「は?」


「ホーンラビット狩りを頑張「なんでもいいから!がんばって!」・・・」


「・・・そうか。またくる」




トコ トコ トコ トコ 




ミマファズが苦手なのは・・・ちょっとめんどくさい人だからだ。


ラビットスレイヤーさんはアンパン4個買って帰っていった。


これからもラビットのみを狩るのだろう。



お!


町の人と話している。


「ラビットスレイヤーさん 今日も元気そうですね」


「ホーンラビットか」

「え?」


「ホーンラビットが元気なのか」

「あなたがですよ。元気そうでなにより」


「そうか」


別の町民と

「ラビットスレイヤーさん ごきげんよう」


「ホーンラビットか」

「ん?」


「ホーンラビットがごきげんなのか」


「あなたのことですよ。こんにちわってことです」


「そうか」



串肉屋のおやじ

「この串肉おいしいよ」


「ホーンラビットか」

「ん?」


「ホーンラビットの串肉がおいしいのか」


「ええ。これはホーンラビットの串肉です。おいしいですよ」


「・・・・・・・1本もらう」


「まいど」


ラビットスレイヤーはホーンラビットの串肉を食べた。


「ホーンラビットか」

「なんです?」


「ほんとにホーンラビットの串肉なのか」


「嘘ついて売ってどうするんです?ホーンラビットの串肉ですよ」

「・・・・・・20本もらおう」


「まいどありー」



「ホーンラビットか」

「なんです?」


「ホーンラビットがまいどありなのか」

「お客さん頭、大丈夫ですかい?お客さんにありがとうってことですよ」



「そうか・・・また買いに来る」


「ありがとうございます」


「ホーンラビットか」

「だからなんです?」


「ホーンラビットにありがとうなのか」

「お客さんいい加減にしてくれよ!」


ホーンラビットの串肉はうまかったようだ。

専門に狩ってるけど ホーンラビットの串肉屋は はじめてのようだ。



これからもさらにホーンラビットを専門に狩るのだろう。


信念をもった冒険者はかっこいいね。


でも、ひとつだけ・・・・


















めんどくさいひとだね。



「ホーンラビットか?」

「だから おまえさんなんなんだよ!」


串肉屋のおやじとラビットスレイヤーの会話はいつまで続くのだろう。




「いいかげん行ってくれよ!」


「ホーンラビットか」

「なにがだよ!」


「ホーンラビットに行ってほしいのか」

「おめーさんだよ!」




話が常にホーンラビットになるため 堂々巡りの会話になってしまう

ラビットスレイヤーさんだった。





・・・つづく





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3か月投稿できました。

星★ 応援ハート フォロー ありがとうございます。


本日は95話と96話投稿します。


誤字・脱字・表現がヘタなところは ご容赦ください。

素人投降で つたない文章ですが読んでくださり ありがとうございます。

これからも よろしくお願いします。


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