第113話 剪定ハサミ




賊を捕縛した。

またドンセシュ町に戻って門兵に賊のこと話して身柄を引き渡した。



「申し訳ない。思った以上におおきな賊の一味でな。アジトをつぶせたのだが賊のボスを相手にしているうちに多数の手下に逃げられてしまったのだ。そしてボスにも逃げられた。捜索はしていたのだが見つからなくてな」

族のボスは手下を逃がす時間稼ぎをして、自分も逃げきったようだ。

すごいね。強いだけのことはあるが身を挺して手下を逃がす心意気はすばらしい。

今は捕縛されてるけど。


「おぬしたちが族を壊滅させてくれた。感謝する」

兵長さんがお礼をいって賊を連れて行った。


ちょっと頼りない兵長さんだけど町の平和のためにしっかり仕事してもらいたい。




「みんな強いな。今回は危ないかと思ったぞ」

マッキーが言う。


「しかしヘイサクには驚きだぜ。スキルをガードで弾くとはな」

ケブヤがスキルを素手で防いだことをしきりに驚いていた。



「・・・・」

マッキーは考え込んでいる。

自分だけ戦えないのが悔しいのかも。


「何はともあれ、おれたちは最強だな」

「「「最強っす」」」

「そうだな。いいチームだ」


ノモコズとケブヤが言う。


「いいチームだけど、なんだか疲れたよ」


俺たちも帰ろう。



・・・・




ドンセシュ町から帰ってきて数日がたった。


ノモコズ(ノモコ タシンサ タシテ ボノクデ)もたまにお店を手伝ってくれることになった。



スキルを授けてくれたから、ただ働きしてくれるそうだ。

複雑な気分だけど、せっかくの申し出なので頼むことにした。

ノモコズはケブヤの焼きそばを焼く姿にほれこんで

自分たちも焼きそばをやりたいと言い出したので別のものをやらせることを考えた。





店を閉めて村に帰ろうとすると町の門の近くにフードの露天商がいた。


「そこの道行く いなせな旦那 あんただよ ちょっと見てゆかんかね」

「あ ルウナシーイ」

「お 調味料の旦那じゃないか」


「まためずらしいものを売ってるのか」

「そうそう。まためずらしいものを売ってるのさ」


「今日はどんなものを売ってるんだ」

「品物はこれだ」





<剪定ハサミ>

切った植物を再生させる



という魔道具


貴族家に仕える庭師が盆栽を剪定したところ、主のお気に召さない剪定だったので大目玉を食らってしまい

事前に仮剪定してこの形でいいか確認を取ってから実際の剪定ができるように作らせた魔道具だそうだ。

しかし、貴族家が取り潰しになって使われなくなってしまったため

売り飛ばされたものだという。


「これもすごい魔道具だな」



「すごいと思うだろう。だがこのハサミは魔石をセットしないとただのハサミなんだ。

剪定しても枝葉が再生するまで1日かかる。それに太い枝は切れないし盆栽のような小さい植物にしか使えない。

盆栽をいろいろ剪定して楽しむくらいしか使い道がないんだ。貴族でも欲しがる奴は少ない。 骨董品あつめにほしがるくらいかな」



これも凄腕の錬金術師が作った魔道具だそうだ。



たしかに盆栽をいろいろ剪定して楽しむくらいしかないような。



このハサミはほんとに骨董品なのかも・・・まてよ!



調合箱もおれにとっては奇跡の魔道具だった。


この剪定ハサミも俺にとっては奇跡になる気がする。





「ふふふ、この前のモノクロのお礼も含めて めずらしい物ならあるんだが」



物々交換をちらつかせると




「やっぱり!どんなめずらしものだ?」



ルウナシーイは乗ってきた。




「これだ」



低反発クッション丸型 枕型 羽布団セット ワンコインショップの小型クーラーボックス2(発泡スチロールのやつ)  


を出した。



低反発クッション丸型 枕型 羽布団セット ワンコインショップの小型クーラーボックスを説明した。

特にクーラーボックスに食いついた。

氷を入れて魔法袋に入れておくと生ものでも長期間保存できるのはすごいと驚いていた。


異世界だと地球の値段的価値は通用しないね。


クッション 枕 布団は自分で使うために買ったやつなんだけど、いか。また買おう。



「旦那、今回も、もうすこし頑張れないかい?」



ルウナシーイは交渉してくる。



俺は喫茶店で儲けてるからね。


「こうひとこえか。そう来ると思ったよ。それじゃこれを追加するよ」



砂糖 塩 胡椒 味の素を追加した。



すべて前回の5倍だ。


調味料はドンセシュ町から帰ってきて仕入れておいた。





「旦那!これだよこれ!砂糖 塩 胡椒!しかも前回よりもこんなに!味の素もある!これも大人気だった!」



「調味料の他にこれもつけるよ」



チョコレート10 クッキー20 ケーキ10を出した。



「こ、これは クッキーじゃないか!王侯貴族しか食べれないという超高級菓子!それに白い芸術的な食べ物がケーキか。黒いのがチョコレートか」


「そうだ。クッキーは20個用意したからな。チョコレートもモノクロのお礼と思ってくれ」



「旦那ありがとな!交渉成立!交換してくれ」



上機嫌で交換してくれた。





「ありがとうルウナシーイ。そうだ、物々交換した品はキース子爵に売ってたんだな」


「よくわかったな。そうなんだ。キース子爵は珍しいものが大好きでな、特にこの世に一つしかないものは欲しがる。それに調味料は高値で買ってくれる。おかげで儲けさせてもらってるさ」


「魔道具を子爵に売りに行かないのか」


「旦那と交渉してダメだったら子爵に売りに行くことにしたのさ。旦那の調味料と物々交換したほうが儲かるからな」


抜け目ないな。


「そうか。俺もいい品を交換してもらって助かってるよ。またいいのがあったら頼むよ」


「こちらこそまいど。いなせな旦那。また買ってくれよ。」


「そうそう。名乗ってなかったな。俺はワダヘイサクだ」


「わかった。ヘイサクの旦那。またよろしく」



今回は本当にガラクタ扱いの品みたいだが、調合箱とモノクロの礼も兼ねて大盤振る舞いした。



それに

剪定ハサミの使い方に思い当たることがある。

植物のみに効果があるなら たぶんあれに・・・


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