第119話 サミシさん




12時間後、薬草が完成した。完成時間は下級や中級と同じだった。



「ガーリ村長、実は最上薬草を見つけました」


「さすがヘイサク様ですじゃ。お金はなんとかしますじゃ」



「あの~、上級回復薬を作りました。12時間かかってしまいましたが」


「なんですと!ヘイサク様は薬師でもあられますじゃか!」


「師匠!薬師だったのか!だから作物とかイモとか栄養のこととか知ってたのか!すごいよ!」


いやいや。

回復薬は魔道具で作ったし、地球ではみんな知ってる知識だ。


「そんなたいしたことじゃないけど」


「謙遜するなんて おれ師匠に一生ついていくよ」


40近いおっさんについてこられても俺が困る。



「と、とりあえず村長の奥さんを治しましょう」


サミシさんの部屋にお邪魔した。



「回復薬を作りましたので飲んでください」


「こんな高価な薬いただけませんよ  ごほ ごほ」


「いえいえ 買った薬ではありませんから。これを飲んで病気を治してガーリ村長のトラクターに乗ってあげてください」


ヘソマせがれに上級回復薬を渡してサミシさんに飲ませてもらう。



ゴクゴク



サミシさんの全身が光る。


「あらまぁ からだが重くないよ」


起き上がることが出来た。



「おお サミシばあ」

「アホじい。苦しくないよ」


「おふくろ!よかった うぅ」


村長ズが抱き合って喜んでいる。


よかった。


村長や村人のみなさんにお世話になってるからね。

ちからになれて本当によかった。


ただ、ずっと寝たきりだったので体力は弱っている。

体力がつくように栄養サプリとエス的なカップを渡して

毎日、薬のかわりに少量ずつ飲んでもらった。


そして、さつまいもを食べてもらった。

「こんな甘くて美味しいものがこのむらで」とおいしそうに食べた。


「ヘイサクさま ありがとうございます。このご恩は忘れませんで」

 

「こちらこそですよ。お世話になってますから。ご病気がよくなってよかったです」


「あなたは真の賢者さまじゃ」



サミシさんを数日ノモクロで鑑定して様子を見た。

健康のままなので大丈夫そうだ。


体力もついてきたみたいだ。


もし、完治してないようならまた最上薬草で回復薬を作ろうと思ったが前に見てもらった薬師の見立て通り1回飲んで回復した。


その後もモノクロで鑑定させてもらっても状態=健康なので大丈夫だろう。


調合箱は下級や中級の回復薬しかつくれないと思っていたが、すごい魔道具だった。


誰かのためになる使い方ができてよかった。


サミシさんは元気になり

ガーリ村長のミニトラクターに2人乗りして仲良さげに畑を耕している。


「アホじい。もっとスピード出さんかい」

「安全運転が一番じゃぞ。わしはガーリコシ「しっとるわい!ほれほれ!スピード出さんかい!」・・」


サミシさんにあおられて

すごい勢いで畑を耕している。


あんなにスピード出してガーリ村長の魔力大丈夫だろうか。


「おやじ おふくろ~」

ヘソマせがれが手を振っている。



仲のいい家族だ。



ガーリ村長の奥さんのサミシさんの病は完治してサーゼリ村の未来は明るくなってきたと思った。



そうだ。女神さまにお供えしないと。




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