第86話 魔道具職人グウドマ

第86話




「あなたが魔道具職人だったんですね」

「そうか。名乗らなかったね。わたしは魔道具職人のニクショグウドマだ。魔道具屋をやっている」


そうだったのか。

いつも町に来るとき村に帰るとき こっちの門を使ってるけど

店が少し奥に入っているので全然気づかなかった。


「もしや 魔道具を買いに来たのかね」

「そうなんです。腕のいい魔道具職人がいると聞いてきたんです」


「そうかそうか。おすすめの魔道具があるぞ」

「え?おすすめですか?」


「これなんかどうかな。ブーメラン弓矢だ。射った矢が自分に向けて必ず戻ってくるぞ」


「それって自分に当たりませんか」

「もちろん当たるぞ。よけるか掴むかしないと大ケガするがな」


とんでもないものを作ってる。



「ブーメラン弓矢」じゃなくて「自分に当たる弓矢」に改名したほうがいい気がする。


「す、素晴らしい弓矢ですね」

「店主にはこのすごさが分かるか!そうかそうか!」


「え、ええ。すごくいいと思います」

「そうかそうか。ひゃっひゃっひゃ!実に面白い!」


グウドマさんは店の奥に行くと なにやら怪しげな小箱をもってきた。


「では これなんかどうかな。デラックス貯金箱。魔法袋の空間収納を使った箱だ。硬貨を入れて目標の金額まで貯金できる。ただし目標の金額前に取り出そうとすると木っ端みじんに爆発するぞ」



「す、すごい貯金箱ですね。爆発したら貯金した硬貨はどうなりますか?」

「空間収納ごと爆発するのだ。吹き飛んで消えてなくなる。取り出そうとした人も無事ではすまないぞ。爆発すると知ってたら絶対に取り出そうとしないだろう」


「な、なるほど。だから目標額まで貯金できるんですね」




ーーーーーー 妄想劇場


例えば とある親子が

デラックス貯金箱を買った


「とうちゃん貯金しようよ」

「そうだな息子よ。コツコツ貯金しようか」

「とうちゃん貯金の目標金額は銀貨5000枚(5000万円)にしようよ」

「はっはっは。そうだな。目標は大きいほうがいいからな。よし設定したぞ。貯金箱の機能は、お母さんに内緒だぞ」

「うん!お金いっぱい貯めよう!」


ーーー歳月は流れーーー


親子はコツコツ20年かけて銀貨4999枚貯めた。

嫁は魔道具貯金箱とは知らなかった。

今月は少し食費がかさんだ。

「銀貨1枚、貯金箱からとりましょう」

嫁は貯金箱から銀貨を取り出そうとした。


そのとき!


ズドーン!


すごい音がした。


「どうした!」

親子が駆けつけると家は吹き飛び 

黒いススだらけで頭がアフロになって口から煙を吐きながらフラフラの嫁がいた。

貯金箱も木っ端みじんに吹き飛んでいた。


「おふくろ!」

息子は20年で立派な大人になっていた。


しかし・・・

「銀貨4999枚が!あと1枚で!あと1枚で無事に貯金箱を開けられたのに!家と全財産が吹き飛んでしまったー!」


親父は四つん這いorzになり涙を流した。


この家族に未来はあるのだろうか。


ーーーーーー 妄想劇場 完



とゆうふうにならないだろうか・・・



弓矢も貯金箱も買う人いるのだろうか。

どっちも いらないと思うんだけど・・・


「ど、どちらも、素晴らしいと思いますが 今日は違うものを買いにきました」


「そうか。それは残念。して 何をお求めかな?」


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