第85話 魔道コンロを求めて
第85話
新メニューの噂が流れているみたいだ。
「ひとの口にパンは押し込めないわ」
王女が言う。
ひとの口に戸は立てられない に近い意味かな。
異世界でも日本と似たことわざがあるんだ。
でも、王女よ。
あなた今 兄の口にパン押し込んだでしょうよ。
一部の人にしか知らせてなかったんだけど噂は広まるね。
「ヘイサク殿 それは本当か わたしは聞いてないぞ」
「当然です。チマキ町長には言ってませんから。お預け期間中なんですから言いませんよ」
「そんな水くさいことをいわないでくれ。新メニューの試食をわたしにさせてくれ」
町長の屋敷の方から秘書ズが砂けむりを上げて走ってきた。
「いまなにか胸騒ぎがして走ってきました」
「わたしたちの感がいま行きなさいと告げたような気がして急いできました。確実に」
「お、おう」
秘書ズにもお預けが効きすぎてるのかな。
なんて勘が鋭いんだ。
「おまえたち 実はな ルフダンワで新メニューが出るらしいのだ」
「「ええ きいてませんよ!(確実に)」」
「ま、まあ そんな重大なことではないですから」
「重大なことだぞ」
「「そうですよ。わたしたちが最初に食べれるかどうか重大なことですよ(確実に)」」
「僕の股間も重大なこ「言わせないわよ!」・・・」
王女が黙らせた。
「兄さま ほんとにやめて」
「ははは。気にするな。たわむれだよ。」
この王子は ほんと懲りないね。
そのうち しばかれるんじゃないだろうか。
・・・・
ケブヤには冒険者たちに新メニューを出すちょっとした宣伝をしてもらった。
ミマファズには町長ズに言わないように秘密をまもってもらった。
ほんの一部にしか宣伝はしてなかったのに、けっこう広まってしまったようだった。
町長ズは ブーブー言っているが 気にしない。
王族ズは もう少しペッギリニ町にいるみたいだ。
せっかく城を抜け出せたから羽目を外したいらしい。
新メニュー 焼きそばの作り方をケブヤに教える為こっちの世界の魔道コンロを買うことにした。
地球のカセットコンロでもいいんだけど
魔石を使って火を起こせる道具なら 俺のもってる魔石を使えるからそっちのほうが便利と思った。
町の魔道具屋に買い物に行くことにした。
魔道具屋っていったことがなかったので探してみると
町の南のはずれ(サーゼリ村方面の門)の近くにあった。
魔道具店グウドマ という看板がある。
「こんにちわー」
中に誰もいないので大声であいさつする。
「なにごとかね」
いつも店に買いに来る学者風の男が出てきた。
「あ!」
「おや ルフダンワの店主じゃないか わたしに何か用かね?」
学者風の男が魔道具屋の店主だった。
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