第93話 DVDでアニメを
〈・・・わすれ~ないよ~♪この~ロードを~♪タマラッシュと走った~♪・・・〉
アニメをみながら町長ズは焼きそばをかきこんで食べていた。
「ガツガツ・・うま!うま!・・ガツガツ」
チマキ町長は限界を越えるほど口の中に押し込んで食べている。
「モグモグ・・太い糸おいしいです!久々の美味です!・・モグモグ」
「もぐもぐ・・生きてて良かったです!確実に!・・もぐもぐ」
秘書ズも負けず劣らずで
口がちぎれるんじゃないかと思うほど押し込んで食べている。
3人とも口から焼きそばの麺が出て揺れている。
町長ズはプライドなんてものは持ってないね。
お預けの反動で完全に食い溜めしてる。
「2日ぶりの食事みてーな食いっぷりだな」
焼きそばを焼いたケブヤはドン引きしていた。
完食した町長ズ三人の口の回りはソースと青のりだらけだった。
・・・・
<アロエは引っ越しすることを決意するのでした・・・>
俺がナレーター役をしている。
異世界人には日本語がわからないから通訳している形になる。
ナレーションしないと内容がわからないだろうと思ってやっていたが
深夜を越えたころ 疲労がピークになったので途中でやめようと思った。
だが・・・
王族ズ
「もうちょっといいでしょ」
「今いいところじゃないか。ここで止めるのは無粋だよ」
ルフダンワズ(ブンセ ミマファ ケブヤ)
「もうすこし見ましょう」
「おにいさん もっとみたいよ」
「続きが気になって眠れねーぜ」
町長ズ
「ヘイサク殿 これは最後まで見るべきだ。明日の仕事が手につかん」
「そうですよ。もっと見ましょう」
「駄菓子食べながら最後まで見ましょう。確実に」
このままだと俺のほうが明日の仕事、手につかなくなるよ。疲労で。
しかし、
俺以外 満場一致で最後まで見ることになった。
次の日のお店の営業は午後からにして
夜通しで昼までかけて ぶっ通しでアニメを見ることになった。
電池もたくさん買っておいたけど、ここで使うことになるとは。
電池が切れたら交換しながらナレーションしてDVD鑑賞会は進んでいった。
電池交換 DVDセット ナレーションと全部おれがやってるので きついんだけど・・・
俺以外、みんなで駄菓子をむさぼりながら見ていた。
町長ズが一番駄菓子をむさぼっていた。あれだけ焼きそば食べたのに まだ食べるのか。
粉ソーダも ぐびぐび飲んで
「「「ぷはー!」」」
とか言ってる。
駄菓子は子供たち用に用意したんだけど・・・
〈おじいさんは亡くなり ノロはタマラッシュと牛乳配達をするのでした・・・〉
〈タマラッシュ 僕なんだかベリーベリースリープなんだ・・・〉
〈ノロとタマラッシュは天使に運ばれて 天に・・・〉
ラフランダースの猫の
アニメが終わると・・・
「うわーん!」
「うぅ!うぅ」
王族ズは号泣している。
「ごわーん!ごわーん!」
ケブヤは叫んでいるのか泣いてるのか分からない。
「ノロちゃんが寝ちゃいましたね・・・うう」
「タマラッシューー えーん」
ミマファズも号泣だ。
みんなこうなるよね。
やはり名作は地球も異世界も関係ないんだな。
そう思った。
町長ズも泣いているのかな・・・
「おのれ!あのオヤジめ!ノロを陥れおって!ゆるせん!それに家賃はわたしが払う!かくなる上はカタユ伯爵に兵を出してもらって でーぶいでーの中に助けに行こう!」
「チマキちゃんのゆう通りです!まだ間に合うかもしれません!行きましょう!」
「天使にお願いしてノロちゃんを地上に戻してもらいましょう!確実に!」
チマキ町長と秘書ズ・・・何をいってるの。
「名案だわ!父に頼んで王国兵を総動員して あのオヤジを捕えましょう!」
「よし!第一王子の兄に頼んで総大将になってもらって乗り込もう!」
王族ズも物騒なことを言い出した。
「なんでノロにやさしくしねーんだ! そのせいで・・・ゆるせねー!」
パリンッ!
ケブヤは怒りのあまりコップを握りつぶした。
なんてことを。お店の大事なコップだぞ。
「わたしも自転車で救出に向かいます!」
「わたしもたすけにいく タマラッシュー」
ミマファズも助けに行くとかいいだした。
チマキ町長の「DVDの中に助けに行こう」の一言でみんなの心に火がついた。
やめてやめて。
なんでそうなるんだよ。
「これは物語だから。DVDプレイヤーの中には入れないから。動く絵だっていったでしょ」
「そうでした・・・」
「そうだったね・・・」
「うっかりしてたぜ・・・」
みんなに説明するとミマファズとケブヤは納得してくれた。
しかし・・・
「いや 入る方法はあるはずだ!みんなで考えれば必ず見つかるはずだ!」
「「そうです!あるはずです(確実に)!」」
チマキ町長がとんでもないことを言い出した。
秘書ズも同調している。
「だからDVDプレイヤーの中には入れな・・・」
「そうだわ。でーぶいでーの中に入る魔道具を作ればいいのよ」
王女もとんでもないことを言い出した。
DVDプレイヤーの中には入れないんだってば。
ほんとにやめて。
すると王子が・・・
「僕の股間だけ でーぶいでーのな「「言わせないわよ(ませんよ)!」」・・・」
王女とチマキ町長が同時に王子を黙らせた。
「た、たわむれだよ」
王子はほんとに油断ならない。
アニメをDVDプレイヤーで見ただけで なんでこんなにカオスになるんだ。
「いやいや ですから・・・」
町長ズと王族ズが納得するまで説明するのは大変だった。
秘書ズが「紙芝居ですよ」っていってたけど ナレーションが必要だから まさにその通りだった。
通訳しながらのアニメは「動く紙芝居」が正解かも。
お店はルフダンワズ(ミマファ ブンセ ケブヤ)に任せて 疲れきった俺は爆睡したのだった。
アニメを見終わるまでに駄菓子はすべて食べ尽くされていた。
午後からお店を開けたが、
駄菓子を買いに来た子供たちは
「駄菓子買いたかったのに うえーん」
「きのうは 近よれなくて買えなかったから今日きたのに うえーん」
「大人たちが買い尽くしたんだ うえーん」
「品切れで すまねーな」
「・・・」
「・・・」
アニメ鑑賞で全部食べたとも言えず ばつが悪いルフダンワズだった。
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