第97話 リュックスキル





「へいさく殿~」

チマキ町長が走ってやってきた。



「チマキ町長どうしたんですか?」


「わたしも共にいく」



え!




「でも町長の仕事は?」

「2人に任せてきた」


自分の仕事を押し付けてきたのね。

秘書ズが不憫だ。



おかっぱカツラを持ってきている。


ルフダンワ店員マッキーとして同行する気みたいだ。(第66話参照)



「馬車がないですからチマキ町長は待っててください」


「なに?馬車がない?なんだこれは農業用馬車じゃないか。これでは無理だ。わたしが馬車を出そう」



馬車で揉めていたところで町長がツコンポちゃんとタクラガ号をだしてくれることになった。


「「「俺たちは馬車を護衛するっす」」」


タシンサ タシテ ボノクデのモブ3人は歩いて馬車を警護だ。




マッキーが御者をやってくれることになった。


「わたしにまかせろ!ツコちゃん行くぞ!ふんす!」

「ヒ、ヒヒーン」


マッキーが気合いを入れる。

ツコンポちゃんは「休ませてくれよ」みたいな鳴き声をあげた。




ぱっか ぱっか

ボロ馬車が街道を移動する。


農業用馬車よりはいいけど。

でも、似たり寄ったりなんだよな。


もし、賊に襲われでもしたら この馬車じゃ逃げられないだろう。



「しりが割れそうだ」

「ばかやろう。もとから割れてるだろうが。でも、しりは痛てーな」


ノモコもケブヤも尻が痛そうだ。


馬車の揺れに尻が悲鳴をあげてるようだ。

ケブヤとノモコに低反発クッションを渡した。


「きょうだい これは全然しりが痛くねえ」

「ヘイサク助かったぜ」


馬車の長旅には低反発クッションが必需品だ。


2人は立ったり座ったりして

クッションの座り心地をためしてる。


ケブヤはやめろ。馬車が壊れるぞ。




・・・・



隣町の門前に到着した。


門前には町に入るために順番に並んでいる。


ペッリギニ町よりもはるかに大きい町だ。


俺たちも列に並んだ。


「ノモコ、これやるよ」

「背負い袋か。ずいぶんいい品じゃねーか兄弟」


ノモコから魔法袋を取り上げたからワンコインショップで買った500円のリュックをあげることにした。


キンキンら服にデカチョウネクタイで背中にリュックを背負ったチョビヒゲハゲ親父になった。


芋を荒う坂の係長みたいだ。


帽子と赤い服とジーパンはかせたらスーパーなマ○オにもなりそうだ。



「兄弟ゆーな。これはリュックサックっていってな。丈夫な生地で出来ている荷物入れだ」


「いいのか。こんないいものもらっちまって」


「魔法袋(中)をもらったからな。その礼だよ」


ノモコから魔法袋(中)を奪い取ったんだけど気が引けるから交換という形にした。

安物のリュックと交換だけど。


「ありがたくもらうぜ・・・あっ!」


「どうした?ヘが出そうか?」


「そうそう。お腹が張って おならがって おいおい そうじゃねーよ! スキル覚えたみたいだ!」


「え!?」


ノモコに鑑定することを断ってモノクロで見る。


ノモコ 強さ30 魔力40 スキルリュック 状態健康


ノモコ意外と強い。


「ステータスオープンって言ってみて」

「おう すてーたすおーぷん」



スキル詳細を聞くと


このリュックをノモコが使うと収納機能を発動する。

(10m立方体の空間)収納出来る。


ということだ。


縦横高さ10m立方体の空間 そんなに入るの?


すごくない?



「きょうだいはすげーよ! 俺にスキルを授けてくれるとはな!」



そんなつもりなかったんだけど。


「「「ボス スキル覚えたんすか!」」」


タシンサ タシテ ボノクデのモブ3人が驚いている。



チマキ町長は複雑な気持ちのようだ。

「なぜ わたしだけスキルがないんだ・・・」

と考え込んでしまった。


これは偶然だからね。



ケブヤはノモコのスキルよりも低反発クッションに夢中だ。


気に入ったようだ。



ノモコは岩がある方向に走って行って岩を何度も収納したり出したりしている。


そして数個の岩を収納して戻ってきた。


「兄弟すげーよ!ほんとに収納できるぜ!」



まさか安物リュックでスキルを覚えるとは思わなかったので

俺自身が一番驚いていた。




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