第91話 極大魔法 火と水
駄菓子「玉ねぎ寝太郎」1袋をかけて おじいちゃんたちの戦いが始まった。
「やるか」
「のぞむところじゃ」
「あの山に魔法を撃って勝負じゃ」
「受けて立つぞい」
お客さんたちも固唾を飲んで見守っている。
「わしから行くぞ ぬぬぬぬ」
ドドドドドドドドド!
空が紅に染まり 地面が揺れだす。
これってヤバい魔法なんじゃないの?
大丈夫なのかと思っていると
ボワ! ボワ! ボワ! ボワ!
空中に数えきれないほどの炎の塊が出現した。
そして・・・
「いくぞい! フレイムメテオ!」
炎の塊群が町の隣の山に降り注いだ。
ヒューン!ヒューン!ヒューン!ヒューン!ヒューン!ヒューン!
ズドドドドドォーン!!!
山は上半分が吹き飛び、某アニメのフライパン山のように真っ赤に燃え盛っている。
「ぜいぜい・・・見たか わしの勝ちじゃ」
「ふん わしのを見てから言え はああああ」
ピキピキピキピキピキ!
今度は空が暗くなり、空気が張り詰める。
このじいさんたち何者なんだ?
こっちもやばい魔法だと思っていると
シュ! シュ! シュ! シュ!
空中に数えきれないほどの水の矢が出現した。
そして・・・
「いくのじゃ! ファイナルスコール!」
水の矢群が町の隣の山に降り注いだ。
ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!
ズドドドドドォーン!!!
真っ赤に燃え盛っていた山は鎮火した。
しかし、半分あった山は水の矢で吹き飛んでなくなっていた。
「はあはあ・・・わしの勝ちじゃな」
お客さんたちは腰を抜かして唖然としている。
やめてやめて。
どっちの勝ちでもいいけどさ
なんで駄菓子ごときで山が一つ消し飛ぶんだ。
仲良くしなよ。
いい歳なんだから。
じいさんズには最後の玉ねぎ寝太郎を入れた紙袋から半分ずつわけて
キャベツ寝太郎とふぅ菓子をそれぞれあげて 仲直りしてもらった。
まったく。駄菓子1袋のためになんて魔法を使うんだ。
このあと衛兵がやってきて
「何事だ!魔物の襲撃か!野党の襲撃か!」
と警戒していたが じいさんズの仕業だとわかると
「あなたたちですか。もう王国火魔法隊長と王国水魔法隊長は引退したでしょう。静かに暮らしてくださいよ。
ヘイサクさん あなたもですよ。ご老体をたきつけないでください。まったく わたしだって仕事がなければルフダンワ亭にいきたいのに ブツブツ・・・」
じいさんズの仕業だとわかると山が吹き飛んだにも関わらず衛兵は気にせず帰っていった。
俺は何もしてないんだけど・・・
じいさんズは魔法隊長だったのか。
そして山を消し去るほどの魔法があるのか。
俺はもっともっとレベルを上げる必要があると思った。
じいさんズに確認してからモノクロで鑑定してみると スキルは
ファイヤーボール と アクアアローだった。
聞くと
練度を上げて強化された魔法だった。
最高の火魔法スキルと水魔法スキルに育てた歴代最高の魔法隊長たちだそうだ。
そんなすごいじいさんズが ほっぺたつねり合ったり 両耳を引っ張り合ったりして
「痛くないもん」「泣いてないもん」
なんてやってたのか・・・
勝手に自分の魔法に名前をつけたようだ。
「いいネーミングセンスじゃろ」
「ナウい いかす魔法名じゃろ」
っていってた。
じいさんズすごいと思ったが
あの魔法を使うと一年間魔法を使えないそうだ。
そんな極大魔法を
なんで玉ねぎ寝太郎ごときで使ったんだよ。
国や町の危機の時に使ってほしかったよ。
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