第60話 ケブヤの店番 後編
第60話
「昨日のにいちゃんか 今日はなんにする?」
ウアニンナイサは恐ろしかった。
今日はお持ち帰りではなく お店で食事を楽しみたかった。
まさかこんな怖い店員が2日連続で店番をしているとは思わなかった。
店員の人相が悪いせいか客はいない。
こんな店員がいる店で飲食出来ないと思い逃げようとした。
しかし・・・
「まて にーちゃん!」
片手で頭をつかんで持ちあげられてイスに座らされた。
「ご注文は?」
注文しないと殺される!
「さ、サイダーお願いします」
命の危機を感じて注文した。
「あいよ サイダー1丁ね」
巨漢マッシュルームはニコニコしながら奥に行くと飲み物を持ってくる。
「サイダーおまち!」
親指と人差し指でコップつまんでテーブルに置く。
真横でデカマッシュメイドがじっと見ている。
怖くて味が分からないウアニンナイサ。
いつもなら この世のものとは思えない美味しさに嬉しさが込み上げてくるのだが今日は味がまったくわからない。
あまりの恐怖でサイダーを一気飲みした。
「げふっ」
ゲップをしてしまった。
帰ろうとすると
「まちな!!!」
やばい げっぷ したから怒ってるんだ。
こ、殺される!
「そう慌てるな」
また片手で頭をつかんで持ちあげられてイスに座らされた。
「まだ帰るな! もうすこしいいだろ ご注文は?」
「ふ、ふ、ふわふわクリームパンお願いします」
「あいよ ふわふわクリームパン1丁ね」
巨漢マッシュルームはニコニコしながら奥に行くとパンを持ってくる。
「ふわふわクリームパンおまち」
親指と人差し指で皿をつまんで出す。
真横でデカマッシュメイドがじっと見ている。
帰りたくても帰してもらえないウアニンナイサ。
一口で食べて帰ろうとすると
「うぐっ!」
のどに詰まる。
「だいじょうぶか にーちゃん ほれ オレンジジュースだ これはおれのおごりだ」
「あ、あ、ありがとうございます」
一気飲みして帰ろうとするがまた頭をつかんで持ちあげてイスにすわらされる。
「まだいいだろ ほれ これはおごりだ ふわふわアンパンだ 食え」
巨漢マッシュルームがニッコリ微笑む。
「は、はい。ありがとうございます」
怖くて味がわからない客ウアニンナイサ。
「お勘定ここにおきます」
あまりの恐怖で財布ごと置いて帰ろうとする。
「まちな!」
「は、はい!」
やばい何か失礼があったか。
こ、ころされる!
「にいちゃん払いすぎだ ほれ お釣りだ うけとれ」
おごり以外の飲食代をとると財布を投げ返す。
「あ、ありがとうございます」
若い冒険者は逃げるように店を出た。
「まいどありー またきてくれよ」
若い冒険者は猛ダッシュで砂けむりをあげて走って行った。
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語り キート○山田風
ヘイサクのアイディアでカツラとメイド服で店番が出来るようになったケブヤ。
災難に合いやすい冒険者ウアニンナイサは生き残ることに成功した。
そして巨漢のマッシュルームヘアのメイド(デカマッシュメイド)の噂は町中にひろがるのだった。
次回へ つづく・・・
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