第50話 クッキー
第50話
「新商品のクッキーとチョコレートはいかがでしょうか」
「新商品なのね ふわふわパンおいしいからそれもおいしいんでしょうね」
「はい 保証しますよ」
「それじゃ チョコレートを1つお願い」
「ありがとうございます。ではクッキーはサービスしておきますね」
「ありがとう。いただくわ」
少女はクッキーを1枚、護衛の女性に手渡した。
「食べてみてお城のクッキーと どっちがおいしいかしら」
お城?やんごとなきお嬢様かな。
俺には関係ないか。
護衛が毒味係もかねているのだろう。クッキーを食べた。
「お、おいしい!こ、これは!まるで違います!」
「え そんなに?」
「はい!まるで別物でございます!」
少女もクッキーを食べた。
「これは!なんと上品な!くどい甘さじゃないわ!クッキーの触感と甘さのバランスが絶妙だわ!」
目を見開いて驚いている。
金持ちは砂糖とか調味料をたくさん入れることが贅沢のあかしだったっけ。
まぁ100円のクッキーなんだけどね。
「クッキーを50個お願いするわ」
「かしこまりました。まいど、ありがとうございます」
それを聞いていた客が
「クッキー食いたいぜ!」
「クッキーは超高価な菓子だぞ!」
「俺たち庶民じゃ買えないぜ!」
「チョコもクッキーも安いですよ。クッキーも値段言い忘れてました。銅貨10枚です。誰でも買えますから大丈夫ですよ」
「なに!」「勝った!」「わたしもクッキー買うわ!」
「俺も」「わしも」「おいどんも」「あちきも」「せっしゃも」「みどもも」「あたくしも」「わがはいも」「ミーも」
買ってすぐに食べた客がほえる。
「うおー! うめー! これが貴族の味か!」「俺も貴族さまになった気分だ!」
「サクサクで甘いぞ!」「これで銅貨10枚かよ!」「あり得ないほど安いぞ!」
などなど
好評の嵐だ。
そしてクッキーが最後の1袋となったとき・・・・
「わしが買うんじゃ!」
「いや、わしのほうが早かった!」
最後の1袋のクッキーで取っ組み合いのケンカが始まった。
「ばあさんにプレゼントするんじゃ!」
「わしが ばあさんに買って行くんじゃ!」
おじいちゃん同士のバトルが発生してしまった。
髪の毛をつかもうとして お互いツルツルヘッドでつかめないので
ほっぺたをつねり合って
「ぜんぜん痛くないもん」
「わし泣いてないもん」
などなど お互い涙を流しながら
おじいちゃん同士のバトルは激しくなっていく。
やめてやめて。
いい年なんだからクッキーでケンカはやめようよ。
予備に残しておいた1袋を出してケンカは収まった。
不測の事態のために予備を作っておいてほんとによかった。
多少のトラブルはあったがチョコレートもクッキーも大盛況だった。
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