第49話 黒い板は甘い

第49話




学者風の男も来店してくれていた。


クリームパンとアンパンを10個ずつ買ってくれた。


露店を開いたとき一番最初に試食して絶賛して買ってくれたお客さんだったのでチョコレートをサービスした。


「この前はアンパンを買わなかったから今日は買って行くよ。サービスありがとう」


学者風の男はチョコレートを受け取った。


「店主よ。 さすがにこれは食べれないだろう。 こんな焦げた黒い板をサービスだと?売れないからサービスしてるのか」


「いやいや違いますよ。騙されたと思って食べてみてください」


「こんな黒い板・・・」


ボリッ


学者男はチョコレートを食べた。


すると・・・






















「あ、甘い~!」

彼が叫ぶ。


「なにごとだ」「どうした」「なにがあった」


客が騒ぎ出す。



「この黒い板はなんだ!食べたことがない味だ!甘い!甘いぞ!しか~~し!ほんのり苦い!これは!まさに!真冬の深夜に布団を落とし 寒さで目が覚めたときのような衝撃だ!そして朝起きたとき机の上に離縁状が置かれて嫁が実家に帰ったときのような驚き! ダブルパンチだ!」


なにをいってるのかよくわからないが おいしいってことだろう。


嫁が実家に帰ったのとチョコレートを一緒にしないほうがいいと思うんだけど。


「これが黒い板、新商品のチョコレートです。板チョコと呼ばれる菓子です。見た目は黒い板ですがおいしいですよ。故郷では大人気商品ですから」


「黒い板がうまいだと!」「どんな味なんだ!」「気になる!」

チョコレートに興味が移った客が多くいた。


「値段言い忘れてました。チョコは銅貨10枚です」



「俺に黒い板くれ」「俺もだ」「わしも」


「甘い味だ!よし!嫁に買ってくぞ!」

「うちは娘に!」

「わしはばあさんに!」

「わたしはシチュー食べてチョコを持ち帰りね」



チョコを食べた客が身内にも買って行く。



学者風の男がまたもやチョコを宣伝してくれて爆発的に売れていった。





そして護衛をつれた少女が話しかけてきた。


「こんにちわ お店がひらくを心待ちにしてたわ」


「いっらっしゃいませ。 遠いところからの仕入れなものでお待たせしてしまい申し訳ないです」


「謝ることはないわ 今日は5人いるから50個買えるかしら」


「はい大丈夫です 50ずつでいいですか」


「え 50個ずつ両方買えるの」


「はい大丈夫です 前回は予想以上に好評だったのでたくさん仕入れてきましたから」


護衛をつれた少女は微笑む

「ありがとう 50個ずつお願いするわ」


「新商品のクッキーとチョコレートはいかがでしょうか」



新商品を売り込んでみた。



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