第44話 町長のグラス

第44話




そして、町長のグラスは・・・


顔と同じくらいの大きなグラスだった。


某ものまね芸人が故俳優のものまねをするときに持っているようなデカいグラスを持ってきた。


「チマキちゃん。いつ作ったんですか。始めて見ましたよ。そのグラス」


「あっ細工屋のところにいってたのは確実にこれを作るためだったんですね」


秘書ズもデカグラスは初めてみたようだ。


「あ、いや・・・まあそうなんだが」

町長が爪でグラスを弾く。


カーン


「いい音色だろう」



異世界のガラス技術は高くないので透明ではなく 形も少しゆがんでいるが 俺のもってるワイングラスをまねて作ったみたいだ。


「お金もないのにそんなの作って、なんでそんなにデカいんですか!

グラスに半分ついだらワイン1本はいっちゃうじゃないですか!」


「そうですよ!ワインたくさん飲みたいからって作っちゃったんですね!確実に無駄遣いして・・・生活どうするんですか!」




「ヘイサク殿からもらった袖の下(店の維持費)で作ったのだ。大丈夫だ。せ、節約すれば今月は乗り切れる!おまえたちも大きいグラスじゃないか」


「チマキちゃんのグラスに比べたら わたしたちのは小さなコップですよ!」

「そうですよ確実に。それにいただいた袖の下(店の維持費)をつかっちゃったんですか!生活費にする予定だったのに!」


「なんとでも言え。わたしはワインをたくさん飲みたいんだ!」


町長が涙目で開き直った。



なんでもいいけど袖の下っていわないで・・・



秘書ズは苦労してるな。





村に押しかけてきたからとたくさん飲ませるわけにもいかないので町長ズ3人で1本だけにした。


土産にワインはたくさんあるから屋敷に保管してねというと3人ジャンプして喜んでいた。

町長だけは思いっきりジャンプして喜んでいた。


町長が作ったデカグラスの真価は町に戻ってから発揮されそうだ。



「今日は店を開くのだろう。一緒に行こう。我々も馬車で戻るところだ」

今日は店を開く日(開店日)なので町長が馬車で町まで送ってくれることになった。



もしかしたら、町長ズは俺たちを迎えに来てくれたのかもね。

そう思うことにした。


ミマファとブンセさんは家の仕事を済ませてから来るとのことで俺たちは先に出発することにした。

なにげにミマファたちは町長の馬車に乗せてもらうことに気が引けてるのだろう。


それにミマファ親子なら自転車のほうが早いだろうし。

そうすると俺には馬車はありがたい。


しかし、つぎはぎだらけのボロイ馬車だ。

壊れそうで心配になる。


機会があればこの馬車を使い続けてる理由を聞いてみよう。



俺と町長が低反発クッションを使っていると秘書ズが前方を見ずにクッションをガン見している。


危ないから前向いて。


「「おしりが痛いです(確実に)」」



と言い出したので秘書ズにも低反発クッションをあげた。


すると


「おしりが痛くない!」

「確実に魔法の敷物です!」


と大はしゃぎだった。




今日は私情できたので秘書ズが交代で御者をしてるそうだ。


オークに襲われたときは領主の代理での用事だったので領主の使用人が御者をしていたそうだ。



秘書ズは秘書 兼 メイド 兼 御者 兼 護衛 なんでもやってるんだな。




そう考えると 秘書ズって超有能な気がする。




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