第36話 魔道具
第36話
町長ズとの試飲会を終え教会でお祈りをしたあとミマファ親子と別れた。
お店で必要なものを買うために町でショッピングして帰るそうだ。
「町で買い物なんてワクワクするよ わ~い」
「めったに町で買い物しませんから ふふふ」
とはしゃいでいた。
俺は先に町を出ようとしたら露店の男がこえをかけてきた。
「そこの道行くいなせな旦那。あんただよ。ちょっと見てゆかんかね」
フードをかぶった男が俺に話しかけてきた。
魔法袋とブツブツ交換した露天商だ。
「魔法袋の商人さんか」
「おお。物々交換の旦那じゃないか。」
「今日はどんなめずらしいものを売ってるんだ?」
「旦那もめずらしいものをもってるんだろう?」
前回のブツブツ交換でこの世界にないものを渡したからな。
「品物はこれだ」
<調合箱>
魔石小と薬草と容器をいれてふたを閉めると回復薬が出来る
という魔道具
腕を負傷して回復薬を作れない薬師が納品用の回復薬をつくるために特注で作らせたものだそうだ。
だが、中級回復薬を腕に掛けたら1回で治ってしまって、
こんな道具を作る必要なかったと売り飛ばされたものだという。
「すごい魔道具だな」
「すごいと思うだろう。だが回復薬ができるまでに相当な時間がかかる。それに小さい魔石も必要だ。 下級回復薬をこの魔道具で1個作ってる間に薬師なら30個以上作れる。 それくらい時間がかかってしまう魔道具なんだ。 それに調合スキルなら魔石は必要ないからな。 この魔道具は高額で庶民では手がでない。貴族でもほしがるやつは少ないな。 なんせ、やんごとなき方たちなら金があるから回復薬を買ったほうが早い。 魔石と薬草と容器をセットして出来上がるのに1日かかるんだ。 大けがした状態で回復薬が出来上がるのに1日かかるなんて持ってても意味ない品だろう。 骨董品あつめにほしがるくらいかな」
凄腕の錬金術師が作った魔道具だそうだ。
たしかに本職の人が使うとなると効率悪いだろう。
この世界だとスキルがあるから価値は低いのかも。
だが俺はスキルを覚えられない、これは俺にとって調合スキルに相当する品物だ。
「めずらしい物ならあるんだが」
物々交換をちらつかせると
「やっぱり!どんなめずらしものだ?」
露店の男は乗ってきた。
「前回と似てるがこれだ」
丸型 平型 真ん中に模様がある3種類のビー玉20
ガラスコップの5点セット2
ステンレス包丁5
を出した。
「おお。これはすばらしい。旦那、前回の品物は好評だったよ。儲けさせてもらった。 今回の魔道具はめずらしい品だ。もうすこし頑張れないかい?」
フードの男は交渉してくる。
足元を見られてる気がするがワンコインショップで仕入れたものだからもっと追加しても損しない。
「こうひとこえか。それじゃこれを追加するよ」
砂糖 塩 胡椒 味の素を追加した。
砂糖 塩 胡椒は前回の3倍だ。
村で使えなくなるがしかたない。
次回仕入れて村にもっていこう。
「旦那!これだよこれ!砂糖 塩 胡椒!しかもこんなに!」
「調味料を追加してほしかったのか」
「この真っ白な砂糖は味も最高級だ。塩に至っては苦みもなくうまみがある。胡椒はいわずもがなってやつだ」
不純物をきれいに取り除いてあるから味に差があるのだろう。
科学の力ってすごいな。
「この白いのは砂糖や塩と違うのか?」
調味料に喜んでいたがうまみの素がわからないようだ。
「この白いのはうまみ成分だ。スープにこれをちょっと入れてみろ。高級料理にかわる魔法の粉だ」
「魔法の粉か!俺は旦那を信じるぜ。前回の交換品はすべて最上級だった。今回も同じだ。 だからこれも旦那の言う通り魔法の粉なんだろうぜ。 よし!交渉成立!交換してくれ」
上機嫌で交換してくれた。
味の素の使い方をメモして男に渡した。
入れすぎると気持ち悪くなるからね。
「交換ありがとな。大事に使うよ。味の素の量を間違うなよ。」
「おっと!まってくれ旦那!これをサービスするよ」
片眼鏡レンズ モノクロをもらった。
「これは?」
「それはな。鑑定モノクロって品物だ。詳細に鑑定はできないが名前や少しの情報ならわかる代物だ。旦那にやるよ」
「いいのか」
「ああ、調味料をたくさん頑張ってくれたからな」
「ありがとう」
「こちらこそまいど。いなせな旦那。また買ってくれよ。俺はルウナシーイだ。またよろしく」
フードの男に見送られ町を出た。
「あっ 調合箱の値段聞くの忘れた。まぁいいか」
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