第32話 店の名前を

第32話




ミマファとブンセさんに包んでもらい販売は俺がやったが

2人はテキパキ動いてくれてとても助かった。


「カレーが食いたい」


という要望があったが今日は用意してこなかった。



というのもお店をもつことが決まったので

いろいろな食データがほしいからだ。


お店が始まったらカレーは常時メニューに入れるつもりだ。





売りものがなくなり露店を片付けて町長の家に向かう。



「2人ともありがとう。1人で物件をみて露店やろうと思ってたから今日は助かったよ」



本当だ。

もし一人で物件をみたら3番目の物件に決めていた気がするし

露店でも長蛇の列ができたとき、てんてこ舞いしてたに違いない。



「これ今日の給金ね」

ミマファとブンセさんに銅貨500枚(銀貨5枚)=5万円ずつ渡した。


「え!こんなに!」

ミマファは目が飛び出している。


「ヘイサクさん!もらいすぎですよ!こんなに受け取れません!」

ブンセさんも目が飛び出している。


「いいのいいの。初日だから特別。俺だけだったら3番目の物件に決めてただろうし、それにお店やるときに必要だと思うものをそろえてよ」


「おにいさん。ありがとー」

「ヘイサクさん、ありがとうございます」



村では数か月ぶんの生活費になるという。


ほぼ自給自足だからお金を使う機会は少ないのかもしれない。




「ヘイサクさんお店の名前どうします?」

「名前ないね」

言われて気づいた。

お店の名前考えてなかった。


「町長に相談してみよう」




・・・・





お店の名前を何にするか話しながら歩いていると町長の屋敷についた。


店から近い。


門の前には秘書ズが待ち構えていた。


「ふわふわのパン・・じゃなかった。ヘイサク様ようこそお越しくださいました」

「貴族でも食べたことないパン・・じゃなかった。ヘイサク様、確実にお越しくださいました」



こいつら。



「なぜパンのことを知ってるんです?」


「さ、さあ。なんのことでしょうか」

「さ、さあ。確実になんのことだか」



露店をやってるときに路地から感じた視線は秘書ズだな。



おまえら近くでのぞき見してたんだろう。



完売してすぐに露店片付けてここに来たんだから

パンの話がこんなにすぐに町長の秘書の耳に入るはずがない。


まったく。仕事しろよな。



「露店もすぐに完売したので町長に高めのワインの試飲をお願いしたくて来ました」


「え 高いワイン?」

「確実に高いワイン?」


「「それはわたしたちも頂いてもいいでしょうか(確実に)」」



「い、いいですよ。ワイン好きなんですね」

「「大好物です(確実に)」」



そうなのね。

なんでもいいよ。

お店で売るのに意見を聞きたいだけだから。



「町長よんできます!」

ショーヒさんが呼びに行った。



「ではこちらへ確実にご案内いたします」

ドイーメさんが中に案内してくれる。



ミマファが小声で話しかけてくる。



「変わった人たちだね」

「ミマファ!ほんとのこと言っちゃだめよ」


ブンセさんが黙るようにいう。



まあ 悪い人たちではないからね。




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