第20話 カレーと冒険者

第20話 




お店を用意してもらえるまで露店で商売をする。


今日は初日ということで会議テーブルとパイプイスを少しだけ用意した。



品物は地面に風呂敷を敷いて売りだし

料理はテーブルで出すことにした。



初日で地球の料理カレーは受け入れられないと思ったら

あることをきっかけに長蛇の列ができた。



床に並べた品物

ビー玉10 拡大ルーペ10 ステンレスボール10 ステンレス包丁10 ガラスコップ10


開店日ということで品物は安く売ることにした。

安いといっても庶民には高い金額だと思うけど

ガラスコップの買取価格が商業ギルドで銀貨10枚だったので

それを目安に激安の値段なら売れるだろう。

開店セールということで。


売れなかったら商業ギルドへ売ろう。



ビー玉は細工士が買い占めた。

売値の3倍で買うから全部売ってくれと言われたので売った。


ちなみに何に使うのかと聞いたら加工してネックレスにして売るという。



拡大ルーペ ステンレスボール ステンレス包丁 ガラスコップはまとめ売りせず

お一人様一点限りで売った。



料理のほうは50人前くらいもってきた。


カレーも強気の値段設定にしたので売れ残るかと思ったのだが・・・。


やはり未知の食べ物だ。

冒険者は食べようと思っているようだが二の足を踏んでいる。


「よし!俺が食う!」

一人の冒険者が手をあげる。


「いや!俺が食う!」

もう一人の冒険者が手をあげる。


「じゃあ!俺が食う!」

別の冒険者が手をあげる。


「いやいや!俺が食う!」

さらに別の冒険者が手をあげる。


俺が!俺が!と挙手合戦が始まる。


「みんな見たこともないゲテモノ料理を食べたいって思うよな」

手を上げない冒険者が言う。


冒険者たちは手を上げない冒険者をガン見しながら

「俺が!俺が!」

と手をあげる。



自分だけ手を上げないのは気まずく感じたのだろうか。

「・・・じゃ僕が・・・」

と少し手を上げかけると


「どうぞ!どうぞ!」

と手を上げかけた冒険者にゆずりだした。



「みんなも俺が食うって言ってたじゃないか!僕をハメたな!」



「そんなことしないよな!」

「「「おう!」」」




「やけだ!食ってやる!カレー1杯ください!」

俺が俺が!どうぞどうぞ作戦 でハメられた一人の冒険者がカレーを食べた。




すると・・・


























「かれー うまいよ!!ピリ辛なのがいい!!」


最初に食べた冒険者が宣伝するように叫んでくれた。



「そんなにうまいのか!俺にもくれ!・・・うめー!」

「「「俺も!俺も!」」」


「なら俺も食べるよ!」

「じゃ俺も!」

「わしも!」

「せっしゃも!」

「おいどんも!」

「あちきも!」


「こんな食べ物があったのか!」

「おかわりくれ!」


「これは毎日でも食べたい味だ!」

「うまいー!」



「俺も喰いたいんだよ!こっちもカレーよこせ!」







大盛況になった。







てんてこまいだ。

「すいません。順番だから並んでください」

一人で品売り、カレー盛り、大忙しだ。






「俺のが先に並んでたぞ!」


「なんだとこのやろう!俺のが先だ!」


「やんのかこらー!」












「「上等だ!ちょっとギルド裏にこいやー!」」











いきりたった冒険者が剣を抜いてけん制しあっている。



やめてやめて。


ただのカレーで殺し合いとかシャレになんないから。




大量に用意したカレーはご飯と食パンとともに完売となった。



列に並んで食べれなかった客から


「今度はいつやるんだ!」

「今度こそ食うぞ」



食べた客からも


「俺は1杯食ったが次も食うぞ!」

「毎日やってくれよ!」


などと次回を期待する声が飛び交った。




ヘトヘトだ。



レベル上げより疲れたかも。



でもいいスタートを切れた。



商売初日から縁起がいい。



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