第9話 イモ

第9話



ミマファの家に到着した。



買った野菜(ジャガイモとサツマイモ)の説明をしようとしたが


「そんな作物あるの?お母さん呼んでくる」


ミマファが母を呼んできた。



するとミマファ母が「これは村長を呼ばないと」といって村長を呼んできた。



村長は「これは村の大事件じゃ!わしはガーリコシ・・・」といって村人を集めてきた。





なにやら集会のようになってしまった。


改めてジャガイモとサツマイモの説明を村人にした。


「この作物はやせた土地でも収穫できます。

簡単な調理で食べれて しかも保存できる作物です」



「麦以外にそんな作物があるとは」


村人は興味津々だ。




「手を加えて調理すればいろいろ食を楽しめます。

とくにサツマイモは甘くてうまいですよ」


あまいという言葉に村人全員が反応した。


どうやら庶民には甘味とは無縁の世界みたいだ。


たぶん身分の高い者が独占してるのだろう。

戦国時代でもそうだった気がする。



「信じられないと思うけど、ある程度なら畑に適さない土でも育つので

騙されたと思ってやってみてください」」


村人は半信半疑のようだ。


でもやってみたら納得するだろう。







翌日、村で使ってない畑を少し耕してイモ類を植えた。


鍬の刃が木製ないので耕すのに苦労した。


ミマファは鍬を振り上げて「コテッ」と後ろに転んでいた。



ミマファ家族と食べる予定で調理用に買ったイモ類は、

村人全員でちょっとずつ試食することになった。



「ジャガとサツマのふかしイモ」

「油をつかわないチップス」

「マッシュポテト」


の3品を作った。


塩を用意すると


「真っ白な塩じゃな」


と塩にも反応していた。



塩少々でジャガ料理を食べてもらった。



「お兄さん おいしー!」

「おいしいわ!」

「腹にたまりますじゃ!わしはガーリコシマですじゃ!」


ミマファ家族と村長が絶賛している。



「旅の人は賢人様なのではないか!」

村人たちは俺のことを賢者か何かと思いはじめたようだ。


現代世界ならスマホでなんでも調べられるからな。

知識人と思われてもしかたないか。



サツマイモは焼きイモにした。

焼きイモの反応は驚くほどだった。


「甘いよー!涙 おいしー!涙」

「奇跡の食べ物だわ!涙」

「世界が変わる味じゃ!涙 わしはガーリコシマですじゃ!」



こちらはもはや高級品扱いになって泣きながら食べている。



「この村のために!こんなうまいものを!師匠!」

「これが甘味か!」

「これが天国の味か!」

「うちのベコにも食わせてーだ!」


などなど村長のせがれや村人たちも絶賛している。


せがれの師匠になった覚えはないぞ。


「イモ類はやせた土でも栽培出来るから、食料不足に悩むことは減ると思いますよ」


村人から「ありがたや」と拝まれ、「ヘイサクさま」とか「賢者さま」と呼ばれるようになった。


いやいや。ジャガイモとサツマイモだぞ。


まぁそれくらいこっちの世界は不自由なんだなと思った。


それからじゃがイモの芽や緑になったものは食べないように、管理を間違えると毒にもなるということも伝えた。



この村人たちは俺に親切にしてくれている。


なら、こちらも親切にしたいと思うのは当然だろう。


最初にこの村に来てよかったと思う。




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