其ノ拾参 対面
ばんっと大きな音がして。扉が、開いた。
「っ⁉︎」
「来たっ!」
刀を構えると、3人の侍が飛び出してきた。
「くっ……!」
一人の侍の刃を、必死に受け止め、払う。
するとアリマスが、俺の頭の上でペタペタと足踏みをした。
「何、今取り込み中なんだけど!」
「後ろであります!」
「え?」
後ろを振り向くと、
「きゃぁ!」
「明!」
明が他の男に羽交締めにされて、ドアの中に連れ込まれるところだった。
「明っ!」
明の方に走り出す、でも俺も、同じように男に羽交締めにされる。
「やめろ!」
もがくけど、そもそも足が浮いてしまうほどの体格差。
「やめるであります!やめるであります!」
「いってぇ、目潰しすんなこの栗鼠が!」
アリマスが敵に目潰し食らわせてるらしいけどなすすべなく、俺も同じように部屋に連れ込まれた。
「ぐはっ」
無造作に床に落とされた俺は、体を打ち付けて声を出す。
「ちょやめてね優しく置いてね……痛いっ!」
隣に、和さんも落ちてくる。
痛みを堪えながら起き上がると、少し高くなっているところに、葉月と、美沙さん、その2人の間に、男が1人、椅子に座っていた。
「美沙さん!」
明が叫ぶ。
でも美沙さんは何も答えなくて、葉月が口を開いた。
「貴方達には早く消えてほしいの。災の火種はきちんと潰してから、『計画』を進めたいからね。本当は、来てほしくなかったけど。時間の無駄だから。」
そう言って、不敵な笑みを浮かべる。
「僕らは、お前らを止めに来た。そして……美沙を、取り返しに来た。」
和さんが言うと、葉月は刀を抜いた。
「でも、戦うのは私と美沙だけ。こっちの男たちは、『計画』のためにとって置かないとって、あなたに怪我させられるわけないでしょうけど。」
「ああ、怪我させることはないだろうな。」
和さん⁉︎
「僕らは、誰も傷つけずに、お前らを……倒す。」
和さんの声に、俺も頷いた。
誰も、傷つけたくない。未だ、俺の肩は痛みで悲鳴をあげている。
この思いを、他の人に、自分の手でさせてしまうなんて嫌だ。
俺らの戦いが、今、始まる。
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