其ノ漆 逃れ者

「ア〜リマス?ここが明の部屋なんだよね〜?」

美沙さんがおっそろしい笑顔でアリマスに詰め寄る。

「こっ、ここここここであったでありますありますよ!」

明らかに動揺するアリマス。

「もう嘘をつかなくて良い、栗座右衛門くりざえもん。ここに連れてきただけでお主ははすごい。」

そういった出てきたのは…。

「あの時のあの人!」

明を誘拐したあの平安貴族だった。


「お前っ!」

「私の名はお前ではない。葉月だ。」

あの時のあの人…葉月は、平安時代の時とは違って、くノ一のような格好をしている。

「アリマス⁉︎」

和さんが言う。

「アリマスは……味方、だよね?」

「はあ?」

アリマスが感じ悪く言う。

「この状況を見てまだそのようなことを言うのでありますか?この大馬鹿者でありますよ。」

まさか……、アリマスが敵だったなんて……。

「明はどこだっ⁉︎」

「ふっ。さっきから後ろにいるではないか。」

「⁉︎」

俺たちは振り返る。

「明っ!」

50メートル先くらいに、明が座って、眠っていた。

そして、その後ろには…刀を持った男が2人。

「その女を解放する条件を教えてやろう。」

葉月が言う。

「そのリングを渡せ。」

「これは……」

現代に帰るために必要なものだ。渡すわけにはいかない。

「なぜ、これが必要なんだ?君はタイムトラベラーだろ?」

「私は別にタイムトラベルしたいわけではない。このリングで行けるところに行きたいの。」

えっ……。

「お久しぶりね、逃れ者の美沙さん。お仲間の博士さんはお元気かしら?」

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