第15話

 渡君が辞めてしまったから、はや一週間近くが経とうとしている。


 私――三橋双葉にとって、彼は不思議な存在だった。


 渡君の探索能力は十分といっていいのに、ただ教えるに甘んじているのだ。


 動きに無駄がない。上級者のそれだった。


 からすれば隠し通せているつもりなんだろうけど、バレバレ。


 ダンジョン配信を嗜み、現場に出向いている経験からしても間違いない。


 辞めてしまうなんて、急な話。衝動に駆られるようだった。おそらくダンジョン配信か探索者として動き出しているはず。そうであってほしい。

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