第2話 何故学校にビームが!
「つきましたね、学校」
「よかったねぇ~。もう校門閉まってるけど」
「さしすせそ、さりげに甦って居るじゃないですか!」
「まぁねぇ~。SMプレイの鞭ごときじゃぁ、僕は倒せないよぉ~」
「ありえない...あれは致死率0.01%の筈だ!」
「確率ひっく!」
「で、どうするんだぜ?俺っちたち四人、大遅刻だぞ。なんだぜ」
「あっ、私と別れてもそれ継続するんだ...まあ兎に角、乗り越えて強行突破だね」
「いいのですか?しかし私のデータによれば、最近遅刻に対する我が校の制裁がグレードアップしたと」
「キミのデータなんて大して信用出来ないねぇ~。ほら、入るよみんな」
「うわっ!サイレンが鳴り出したんだぜ!」
「ほら見ろ!入った時点でこうなる確率は100%だったんだよ!」
「うそ...大体なんで学校にこんな大袈裟な設備があるの!」
「えぇ~。もしかして僕のせい?」
「うん。そうだぜ」
「やるしかありませんね。みなさん構えて」
校門奥。鳴り響くサイレン、赤く、目まぐるしく動くランプ。そして、校舎の扉から煙が吹き出る。
「よくぞ来た、哀れな生徒共。我の名は菜煮怒根野(なにぬねの)。この学園を統べし、校長...の部下。四天王が一人!遅刻によるペナルティを受けたくなくば、この私を倒してから行け」
「データキャラくん、情報を出して!」
「人使いが荒いですね!ですが、共有しておいた方が得だ。ええと...あれは、なにぬねの。強面眼鏡、常に上下青ジャージを着用している数学教師。メインウェポンは鋭い切れ味でトマトもスパーン!三角定規カッター。精密な角度測定で百発百中!分度器アロー。良い子は真似しちゃダメだぞ!針でぶっすり、コンパススピア。以上だ」
「多彩な武器を持っているんだねぇ~。」
「いや、ここ高校なのに分度器とか三角定規とかコンパスって。めったに使わないか、全然使わないものばっかりじゃん」
「算数教師の武器なんてそんなもんじゃないかだぜ?」
「来ますよ、さしすせそ。油断しないで」
「いやぁ~、そもそもキミが僕を殺そうとしたのによく言うよ。百発百中?だかなんだか知らないけど」
なにぬねのは、弓を構えエネルギーをためている。メモリの部分が90度の場所から左右に向かって光り、最終的には全てのメモリが光を放つ。
「我が力を受けよ!『分度器アローショット』」
「ぐぅっ...」
「「「さしすせそーーーー!!」」」
「心臓を一撃だぜ!あれは相当厄介な弓矢だぜ!」
「くっ、私の磨きあげられたハッキング能力も今は使いものにならない!」
「拳で殴りあうかだぜ!」
「しかしそれでは、接近した結果コンパススピアーに迎撃されるのがオチだ。その確率は74.1%!」
「危ないよ、愛上男!いくら私にフラれたからっていくらなんでも自爆特攻めいたことしなくても良いのに!」
「でも、25.9%の確率で回避できるなら、やる価値はある!」
「『分度器アローショット』」
「ぐわぁぁぁぁあああああだぜ!」
「「あいうえおーーーー!!!」」
「そんなっ、私のために!好き!」
「また告白してる...男女の機敏はわかりませんね。しかし、戦力が一気に半分に!このままでは勝てる確率3.7%。致し方ない...」
「その、鞭は!」
「本来僕はそのスジの人間でね。これを用いて戦えば、勝てる確率は11.7%」
「それでもシビアだね。私も、なんとか周囲の設備にハッキングを仕掛けてみる」
「頼んだ!」
「『分度器アローショット』!!」
「甘い!」
鞭のひとふりが、エネルギーの矢を弾き、その先にあったサイレンを破壊する。
「ほほう。テンプレ眼鏡データキャラ、少しはやるようだな」
「僕のことをなんだと思っている!この学園随意の天才...たちつてとだ!その程度の威力の弓矢、何度撃っても同じ事!」
「ならば、これならどうだ?『三角定規スラッシュ』!!」
「がっ...!」
隙を突かれたメガネデータキャラが、制服を切り裂かれる。
「くっ、腹部をわずかに損傷。失血率0
.001%」
「悠長に数など数えている場合かたちつてと?私は、お前は真面目な生徒であったと認識していたのだがな」
「ふっ。俺は...すでに昔、手を汚している。あんたの目は節穴みたいだな」
「ほう」
「ぐうっ...いつの間に...後ろに...」
腹に、太いコンパスの針。結構痛そうだ。
「『コンパススピアークラッシュ』。これを受けてマトモに立てた生徒はいない。さあ、大人しく遅刻のペナルティとして、『反省文を四ページ記述の上それを読書感想文として提出し全国一位取るまで終われません』に参加するんだな!」
「YouT○berかアンタ!!そんな限りなく成功確率が0%のことなんてやらない!」
「やってみなくてはわからないだろ」
「それでも数学教師かぁーーー!!!」
ズキュン。突然音がして、目の前のなにぬねのの肩が焼ける。
「何っ...一体どこから...」
『やったよ、たちつてと!設備をハッキングしたところ、高出力のビーム発射装置を見つけたんだ』
学校のスピーカーから、そんな声。
「なんで学校にそんなものが...まあ、この際どうでも良い」
たちつてとが、鞭を構えなにぬねのの後ろに立つ。
「しまった!」
「チェックメイトだ、なにぬねの。お前を倒して登校してやる」
「させん」
「どはぁっ...こっ...これは...」
いつの間にか、バッサリと肩から腰まで斜めに切り裂かれている。
「『物差しスラッシュ』。原初にして、数学流の奥義...お前は表面的なデータは揃えられていたようだが、これには気づけなかったようだな」
「ふっ、不覚...かきくけこ、ビームは!」
『それが、何者かにハッキングし返されている!今は撃てない!』
大ピンチ!まさか、ここで死んでしまうのか、たちつてと!
次回をお楽しみに。
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