ノリバト ~ノリと勢いで進行するバトルもの小説~

芽福

第1話 どうしてお前がここに!

俺は愛上男(あいうえお)。どこにでもいる普通の男子高校生!このままじゃ学校に遅れちゃうわ、きゃー、遅刻遅刻♪

「何故っ!!赤信号が変わらない!俺の歩行速度は時速1キロメートル、走行速度は時速70キロメートル。計算上はギリギリ遅刻となり風紀委員にしかられ、そこにあらわれたイケメン上級生との運命の恋が始まるというのに!」

「ふっ。そうはならない」

「その、わざわざ高いビルの屋上から怪しげに語りかけるその声!!!」

「ほっ!!あぎゃーーーーーー!!!!」

「そういう感じで飛び降りてくるなら自由落下に耐性あれよ」

「ふっ。複雑骨折くらい気合いでなんとかなる。僕の名前は柿喰怪子(かきくけこ)。胸が大きいボクっ子さ」

「自分から言うことじゃないこといいすぎじゃね?」

「ひれ伏せ、愛上男。僕は、普通ならば『あいがみ』と読むであろうそのフルネームを敢えてあいうえおだなんて読むその根性が気に食わなかったんだ。十年前の、あの日からね!」

「名前という永続的なモノにたいしてターニングポイントを設けて恨むってどういうことだよ」

「そう言う物言いは僕に嫌われるぞ?。君は、遅刻ギリギリにはならない。一時間目の始まりくらいに登校する、おもんない学園生活を始めるといいさ!」

「俺は高二だし今は夏だが」

「ええいやかましい!とにかく、君は遅刻する。僕はこの日のために研鑽を重ね国土交通省の信号管理プログラムにハッキングをしかけた。これで君のスマホのGPSと完全にリンクし、絶妙に赤信号にばかり引っかかるというストレスを貴様に与えてくれるわ!愛上という名字だと思ってたのに、愛/上男だったと知ったときの僕の屈辱、君にわかるかい?」

「十年間俺のことを思い、ここまでしてくれるほどの人間は君が始めてだ」

「トゥンク...」

「口で言うんだ」

「改心した。これからは君の目の前の信号は全て青になる」

「うん。まず、国土交通省への干渉をやめようか」

「この僕に説教とはいい度胸だねぇ!」

「情緒どうした」

「そこまでだ二人とも!喧嘩はよくない」

「名を名乗れ、ロン毛金髪口にバラ男!」

「はぁーい。僕は刺巣瀬祖。よろしくね」

「視認性が悪い名前だ」

「どうせさしすせそなんだろうな。話の流れ的に」

「はぁーい君たち。そういうメタは程々にね。もう作者が君たち二人を地の文なしでキャラ分けすることに苦労してる頃だ」

「なら俺っちは一人称を俺っちにして、語尾に全部ゼをつけるぜ!!!」

「そんな。自らのアイデンティティを差し出してまで著者を気遣うなんて。愛上男、十年の僕の愛にふさわしい!好きだ!」

「俺っちも君が好きだぜ!!!」

「学校行こうか!例え赤信号でも青信号でも、二人で歩んでいこうね!!」

「はぁーい喧嘩終了。良かった良かった。うぐっ...」

「さっ、さしすせそーーー!!...死んでる。誰がやったんだ!」

「ペロッ。この怪我の跡はSMプレイ用の鞭だぜ!!」

「服を嘗めたら攻撃してきた道具がわかるなんて素敵...」

「俺っちは特定部位を嘗めるとその理由がわかるんだぜ!!!」

「さすがは愛上男さん!!!どこまでも素晴らしい!!」

「キショ。なんでわかるんだよ」

「おい貴様、四角黒縁メガネ制服の着こなし完璧野郎、その鞭!俺っちにはわかる。お前がさしすせそをやったなだぜ!!」

「なっ、何故わかった!!僕のデータにはそんな想定はない!」

「データキャラ瓦解RTAかな?」

「しかもお前、自分から名乗り出てきてるぜ!!アホだぜ!!名前もどうせたちつてとなんだろだぜ!!」

「同じギャグは三度まで...それがギャグ作品の定石ですよ?僕のデータによれば、ここで僕の名前がたちつてとだった場合、読者が呆れてこの小説の代わりにX(旧Twitter)を閲覧し始める確率は21.7%です」

「絶妙にリアリティがある...」

「データキャラは洗剤のCMみたいな数字しか扱わないんじゃないのかだぜ!!」

「そろそろ地の文の描写挟まないと今の状況がわかりづらいんじゃないですか?そう思っている読者は89.7%です」

「仕方ない。やるだぜ!!」

ビルがそびえ立つ東京都心。ビル風吹き荒れる商店街の入り口近くの交差点、交わる視線は交差してんのか!なんつって

「は?」

「は?別れます」

「うわぁぁぁーーーー!!もう俺っちはいきる意味を見いだせないだぜ!」

「おい、たちつてと」

「私まだ名乗ってないんですが...」

「やる気無くなったしこの話畳もう」

「ええ。今ド深夜ですからね。作者の体調が心配です」

「俺っちは愛を手に入れそして失ったーー!!」

「収集がつきませんね。このままではオチがつかない確率は99.9%です」

「心配ない。困ったときは爆発か世界滅亡に頼れと、古事記にもそう書いてある」

「そうですね。畳みづらくなった話でも、爆発させておけば37.1%の確率で話が畳めます」

「俺っちはなんのために一人称を変えたんだぜ!!」

「次回もお楽しみに」

(爆発音)




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