第69話 少女、揉まれる
英雄は山八のダンジョン前にあるテント設営地の前で、絵麻と一花を待っていた。
山八は、元々、キャンプ場だった場所に出現したこともあり、テント設営地がそのまま休憩所として整備されている。
設営地には複数のテントが並んでいたが、そのほとんどがモンゴルの遊牧民が使用するようなゲルタイプのものだ。曰く、災害時の一時避難所や仮設住宅として利用できるかどうかの検証も行っているらしい。
また、この休憩場は、ダンジョン前に含まれているため、ダンジョン内のアイテムを持ち込むことができた。
(先週、これに気づいておけばなぁ)
英雄はぼやく。英雄がこのテントにダンジョン内のアイテムを持ち込めることを知ったのは、優月たちへマッサージをした後のことだった。
英雄はスマホを取り出して、啓子からのメッセージを確認する。
念のため、啓子に二人と居残り練習する旨を伝えてあった。見ると、それを了承する返事がある。
「お待たせ!」
絵麻を支えるような形で一花がやってくる。マネージャーとはいえ、女子高生二人とテントに入ったら、誤解されかねないので、一芝居打ってもらうことにした。絵麻が足首を怪我したかもしれないので、それを診るという名目でテントに入る。
英雄は二人の姿を確認する。二人ともジャージをお洒落に着こなしている感じだった。
「何か言いたげな視線を感じるんだけど」と一花は目を細める。
「べつにそんなことないよ。んじゃ、テントの鍵は借りているから、行こうか」
英雄も絵麻に手を貸し、三人はテントに入った。
テントの中には、シングルベッドが一つとソファーが置いてあった。
「へぇ、ここってこんな感じになってるんだ」と絵麻。
「なんか、ワクワクするね」と一花も目を輝かせる。
「それじゃあ、絵麻はベッドでもソファーでもどっちでも好きな方に座って」
「えぇ~。もうちょっと楽しませてよ」
「そうだよ。風情が無いな」
「遅くなったら、ご家族が心配するだろ?」
絵麻は不満そうにしながらも、ベッドの端に座った。
「今から一花にやり方を教えるけど、絵麻は腕と足なら、どっちをマッサージされたい?」
「うーん。足かな。今日はずっと立っていたし」
「了解。なら、靴と靴下を脱いでもらってもいい?」
「えー。あんたがやってよ」
「何でだよ」と言いつつ、英雄は渋い顔で絵麻の靴を脱がせ、ピンク色の靴下も脱がせた。
そして英雄は、隣に立つ一花に『スライムの体液』を見せる。
「んじゃあ、まずは『スライム・ジェル』を作るため、スライムの体液に水の魔素を含んだ魔力を流す。で、このとき、どれくらい流せばいいかについてなんだけど、本当は粘度を測定して、これくらいって伝えたいところではあるが、今日はその測定器が無いから、とりあえず、感覚で覚えて」
英雄はスライムの体液に自分の魔力を流し、一花に渡す。一花はスライム・ジェルを触って、感触を確かめる。
「あ、これくらいでいいんだ」
「ちなみに、これが一花の作ったスライム・ジェル」
英雄は一花の作ったスライム・ジェルを渡し、比較させる。一花は神妙な顔で感触を確かめた。
「マネージャーの方が、ぬるぬるして、ちょっと重い感じがある」
「え、私にも触らせて」
絵麻も興味津々な顔で二つの違いを比較し、「ふーん。私でもわかるくらい違うね」と言う。
「マッサージに使いたいときは、これくらいでいいんだよ。で、あとはこれを目的の場所に塗って、魔力を流すだけ。あ、そうだ。ちなみに、どんな魔力を流したか、俺にやってみてよ」
そう言って英雄は、左手の甲にスライム・ジェルを垂らし、一花に差し出す。
「こんな感じだったかな」
一花はスライム・ジェルに触れて魔力を流す。
「ふんふん。なるほど。まぁ、悪くは無いかな。ただ、さっきも言ったように、土の魔素がちょっと多いかな。あと、勢いとか魔力の量とかも少し工夫した方が良い」
「そう言うなら、マネージャーが私にやってよ」
「いいよ。手の甲を出して」
一花が右手の甲を差し出すと、英雄はその手の甲にスライム・ジェルを垂らす。
「まずは、一花が流した魔力を流してみるね」
「う、うん」
英雄は、一花が流した魔力に似た魔力を流した。
「どう?」
「ん。まぁ、ちょっとチクチクするかなって感じ」
「次に、俺が流して欲しいと思ってる魔力を流すね」
英雄は魔力を流した。
――瞬間。「あ♡」と一花の口から甘い声が漏れ、絵麻は息を呑んだ。
「え、何をしたの?」
「雷の魔力を流しただけだよ」
「う、うそだ。それにしては気持ちよかった」
「と言われましても。まぁ、一花のそれよりも、土の魔素が少ないし、あとはさっきも言ったけど、勢いとか魔力の量も調節したから、そういうのが関係しているのかもね」
「なるほど」
「じゃあ、これで絵麻にマッサージするから見てて。ということで絵麻、マッサージするね」
「うん」
英雄は絵麻の前で膝をつくと、軽く右足を持ち上げる。
絵麻は頬を染めながら、緊張した。一花が気持ちいいと感じるほどの魔力とはどんなものなのだろうか。期待と不安が混じった目で英雄の動きに注目する。
英雄は絵麻の右足にスライム・ジェルを垂らし、揉みこんでいく。すると、絵麻の頬が赤くなって、口元がゆるんでいく。
「やっ♡ 触り方がいやらしい♡」
「まぁ、これもテクニックなんでね。本当は、この揉み込み方や足の揉み方にも、コツがあるんだけど、それはべつにここじゃなくてもできることだから、魔力の方を優先して教える。じゃあ、絵麻、魔力を流すよ」
「うん」
英雄が魔力を流す。
――瞬間。絵麻の体がぶるっと震えた。
「あ、これ、やば♡」
英雄が慣れた手つきで足を揉み込んでいくと、絵麻の体が小刻みに震え、「あ♡」「ん♡」と甘い吐息が増える。
そして、ついには背中からベッドに倒れ、火照る顔を両手で隠し、快感に悶えた。
一花は、絵麻の様子を見て、羨ましく思うと同時に、不満が募ってきた。
――絵麻が自分の時よりも気持ちよさそうにしている。一花はそれが面白くなかった。
「……絵麻」
「な、なにぃ」
絵麻は薄目を開けて、一花を見る。
「あたしも左足をマッサージしてあげる!」
「え」
「マネージャー。ジェルを貸して!」
やる気満々の一花を見て、英雄は嬉しそうにスライム・ジェルを渡す。一花の積極的に試してみようする姿勢に、好印象を抱いた。
一花はしゃがんで、絵麻の左足にスライム・ジェルを垂らし、揉み込んでいく。そして、英雄に教えてもらった魔力を意識し、魔力を流す。
――瞬間。「ひゃんっ♡」と絵麻が素っ頓狂な声を上げた。
「どう? 絵麻?」
「さっきよりも気持ちぃぃ♡」
「ちょっと失礼」
横から英雄の手が伸びてきて、一花の手に触れる。
「……うん。さっきよりも良いね。一回でこれだけ魔力を改善させられるのは流石だな」
「まぁね」と一花は鼻を高くして答える。しかし、このままでは英雄に負けている気がするので、気合を入れて、マッサージすることにした。
「絵麻、ごめん。ちょっと立つね」
「え!?」
一花が絵麻の左足を持ったまま立ち上がる。しゃがんだ姿勢より立った姿勢の方が、マッサージに集中できた。
「んじゃ、俺も」
英雄も立ち上がって、マッサージを続けた。
「え、ええっ!?」
絵麻は、自然と股を開くような格好になり、スカートを履いているわけではないが、慌てて股を隠した。
しかし、そんなことを気にしている余裕は無くなりつつある。
右足からは『気持ちいい』としか表現しようがない快感の波が襲ってくるし、左足からは荒々しさの中に愛を感じた。
そのコントラストで、気持ちよさが倍増し、絵麻は次第に快楽の虜になっていく――。
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