第49話 白衣の勇者、治療する
英雄は彩羽の魔導管に自分の魔導管を接続し、自分の魔力を流した。
瞬間、彩羽の腰がビクついて、彩羽から甘い吐息がもれる。
「はひぃ♡ ちょっ」と彩羽は顔を紅潮させながら言った。「何をしているの!」
「魔力を入れただけですけど」
彩羽は腰をくねらせ、もじもじしながら答える。
「う、うそよ。私の、あれに変なことをしてんじゃないんっ♡」
「あれって、何のことですか?」
「……ぃき」
「はい? すみません。聞こえませんでした」
「だから、腰以外のところも触ってるでしょ!」
「ああ、そういうことですか。それなら、触ってないですよ。脱がされた感覚やずらされている感覚はありますか? それに、俺の両手は今、夜美さんの腰に置いていますよ」
「そ、それは、無いけど。でも、あひっ♡ ま、また、いれたぁ♡」
「安心してください。ただ、魔力を流しているだけですから。本当なら、俺の魔力に慣れてもらってから、次のステップに進みたいんですけど、今回は魔力の流れを良くしすぎると頭痛の原因になるんで、少々強引に進めちゃいますね」
「え? あ、大きい」
英雄は少し大きめの魔力を彩羽の魔導管の口に当てた。この魔力で彩羽の脳付近の魔力の流れを止める。
「そ、そんなのむ、んっ♡」
彩羽の中に入った瞬間、彩羽の体がひときわ大きく震える。
英雄は水魔法の【水鏡】で、彩羽の前に水の鏡を作り、壁に開けた穴から鏡越しに彩羽の表情を確認する。
「はぁ、はぁ……」
彩羽は顔を紅潮させて、肩で息をする。英雄の大きな魔力で魔導管の形が変わっていく快感を堪えているように見えた。
一花同様、彼女は魔力に対する感受性が高いみたいだ。
英雄は、大きな魔力を、問題のある個所のそばまで運び、魔力の流れを止めると、わずかな隙間から、光の魔素を多めに含んだ魔力を少しずつ流していく。
「あっ、あっ」
彩羽は後ろ髪を引かれているかのように腰をそらせ、目を瞑って必死に快感を耐えていた。
しかし、徐々に目尻が下がり、口が開いて、だらりと舌が垂れていく。
(うまくいっているようだな)
英雄がこの治療をするのは初めてではない。異世界でもやったことはある。そのときの患者曰く、この治療中は脳を指で突かれている感覚があるとか。
想像するだけでも痛いが、意外にも気持ちいいらしい。そのときの患者と、彩羽が同じ表情をしている。そのときの患者は白目を剥いていたが、彩羽はどうか。
(それにしても、あの夜美ちゃんがこんな顔をするようになるとねぇ)
夜美ちゃんと言えば、英雄が行方不明になる前から子役として活躍していた大スターだ。当時から大人のような印象を受けていたが、今は、別の大人としての印象を受ける。
彩羽の目が薄く開く。白目を剥きかけていたが、水鏡越しに目が合って、睨まれる。
「な、なひをみてひるお!」
「あ、すみません」
英雄は慌てて目をそらす。が、様子が気になるので、視線を戻す。
彩羽は英雄に見られていることに気づいてか、俯いて、両手で顔を隠した。
が、快感のせいか、徐々に腰が反り、両腕を壁につけ、唇を噛む。
必死に堪えようとしているものの、徐々に口元が緩み、彼女の舌が垂れ始めた。
すると目を開けて、鏡越しに英雄を睨んだ。英雄は慌てて目をそらす。しかし、様子を見るために、視線を戻し――。
そんなことを繰り返しているうちに、彼女の魔力栓も消えてきた。
彩羽もうつむいて、肩で息をしている。耳まで赤くなっているが、快感を感じるほどの刺激は残っていないようだ。
「魔力栓はもう大丈夫ですね。ただ、念のため、魔力を流して問題ないか確認させてください」
英雄は彩羽の魔力の流れを止めていた魔力を崩し、魔力の出し入れを開始する。魔力を一巡させて、彼女の魔導管の状態を確かめる。
「は、はひんっ♡」と彩羽がのけ反る。「ま、またいれたぁ」
「魔力です。だから、安心してください」
「うぅぅ」
英雄の魔力の出し入れがあるたびに、彩羽は筋肉の弛緩と収縮を繰り返し、甘い吐息を漏らし続けた――。
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