第22話 大神士狼はオレの嫁♪ 天下一武道会!
ヤル気充分な変態たちと共に、芽衣もとい『ヒツジ仮面』に連れられてプールサイドを移動すること3分。
俺達は特設会場ステージへとやって来ていた。
そこにはクイズ番組もビックリのクオリティの背景セットが用意されていて……
「スゲェお金かかってない、コレ? 大丈夫? もしかして、参加費とか取られるタイプのアレですか?」
「安心してください、士狼。コレは猿野くんに善意で作って貰ったモノなので、実質
「アイツも暇だなぁ……」
というかこの勝負、アイツも1枚嚙んでいるのかよ。
……なんか、物凄く嫌な予感がするなぁ。
「それでは皆さん! 自分の名前の書かれた席に移動してください!」
何とも言えない不安が俺の胸の中を支配する中、とりあえず芽衣に言われた通り、横一列に並んだ座席から自分の名前が書かれた席へと移動する。
え~と、俺のは……アレ?
「おい芽衣? 俺の席が無いだけど?」
「芽衣ではありません、ヒツジ仮面です。『席が無い』も何も、士狼の席は用意して居ませんよ?」
「えっ、なんで!? いじめ!?」
「イジメではありません。そもそも、この勝負は士狼を賭けての勝負ですよ? なんで優勝賞品が参加する必要があるんですか? 士狼はコッチで、わたしと一緒にこの勝負の解説をして貰います」
そう言って司会進行席に座っていた芽衣が、自分の隣の席をポンポンッ! 叩いた。
どうやらアソコに座れ! という事らしい。
う~む?
出来ればこの勝負、俺が優勝して何もかも有耶無耶したかった所なのだが……芽衣のヤツ? 俺の思考を先回りしやがったな?
「ほら士狼、はやく。時間が押してるんだから」
「でも……」
「ダメ。この勝負は絶対に決着をつけないと。後で大変な目に遭うわよ?」
妹と同じく『絶対に退かない!』という意思を瞳に宿す、ヒツジ仮面。
こうなったらテコでも動かないんだよなぁ、コイツ。
チラッ! と自分の席に座ったマイ☆エンジェルの方を見ると『ふんすっ!』と鼻息を荒げながら、任せて! と言わんばかりに大きく頷いた。
「……あいよ。じゃあ俺は解説に回らせて貰うよ」
愛した女を信じるのも、男の度量だ。
そう自分に言い聞かせて、芽衣の隣の解説席へと腰を下ろす。
ちなみにプレイヤーの座席順は、右から『メバチ先輩』『よこたん』『大和田ちゃん』『蜂谷』『オカマ姉さん』『ハードゲイ』の順番である。
「それではお待たせ致しました! 【第1回 大神士狼はオレの嫁♪ 天下一武道会!】を開催いたします!」
「大会名、どうにかならなかったの?」
「それではルールの説明です!」
俺のツッコみを華麗にスルーして、芽衣がイキイキとマイクに向かって、その美声を吹き込んだ。
「皆さまのお手元にフリップが用意されていると思われます。これから出題される問題の答えをフリップに書いて、一斉にお出しください!」
「相変わらず準備がいいな、芽衣? どこで用意したの、ソレ?」
「えぇ~、先ほどもお伝えしたように、このクイズは間違えた時点で即失格の、勝ち残り形式です! 無事最後の1人になった勝者が、大神士狼の『人権』を獲得する事ができます!」
「もう発言が奴隷商人のソレなんだよなぁ……」
「ちなみに司会進行は、皆さんご存じ、美少女紳士『ヒツジ仮面』。そして解説は【天然女らし】こと、女の敵『喧嘩狼』大神士狼だぁぁぁぁぁっ!」
「ねぇ? なんか俺の紹介に悪意を感じるんだけど? 気のせいかな?」
芽衣はやはり俺の言葉を完全スルーし、司会進行を進める。
……ヤダな、泣いてないよ?
「さぁっ! 勝っても負けても、ある意味バツゲームなこの勝負! 一体誰が生き残るのかぁぁぁぁっ!?」
「だいたい分かっタ」
「
「さっさと始めようぜ?」
「変態共が無駄にカッコイイ……」
蜂谷、オカマ姉さん、鷹野が物凄い集中力で芽衣の言葉に耳を傾ける。
はやく問題を言え! と、この距離からでも分かるほどのプレッシャーを身体から発散させる3人。
絶対にあの3人にだけは優勝して欲しくない。
絶対にだ!
「気合十分といった様子ですね。頼もしい限りです。では前置きはそこそこに、第1問――いってみましょうか!」
デデンッ! という効果音と共に、会場の雰囲気がピリピリしたモノに変わる。
どうでもいいけど、この効果音を流している人、誰ぇ?
一体、どれだけの人数がこの勝負に協力してくれているの?
みんな暇なの?
1人心の中で
「問題っ! 大神士狼の自室の机の2番目の引き出しの二重底になっている場所に隠されている、歴史の教科書でカモフラージュされた、お気に入りのエッチな本の名前はナニ!?」
…………はっ?
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