第2話 左から2番目の白いブラウス姿II
「そんな自由じゃないってことですよ!」
得意気に、ドヤ顔に、佐伯ナナミは言い放った。
(はぁ?あんた、よく言うわ。マッサージ行きたいやら何やらで月に何回も平日自由に抜けてたよね?私は土曜日の休日出勤で歯医者を予約してたからそれが終わり次第出勤してもいいか?って尾園係長に聞いたんだが。しかも、あんたが凡ミスの嵐でできない子だから正社員でもない私が尾園係長の代わりに自ら手伝ってるんだが。べつに休日出勤なんだから何時に来たっていいじゃんか。あんた、勝手に理由も言わずにいつも遅刻するし、お昼に家帰ってから13:00になっても帰ってこんね、ってなってたら15:00に戻りますって理由も言わずに電話してきて絶対昼寝してるだろ!ってやつしてきたじゃんか)
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「2日も有給休暇使うのに、その前に早退ってなんなんですかね?旅行の準備があるから?」
お昼休憩時、若くしてリーダーの加西桃華が鴨田へ愚痴る。もはや、この給湯室のこの時間は加西と鴨田の愚痴り場となっていた。
「多分、セントレア行く前にいつも名古屋の友達の家泊まるとか言ってたじゃん?今回も彼氏の家泊まる前にご飯でもいくだら」
「あ〜それでですか」
「いつもそうじゃん、私今度のミーティングで聞いてやろうかと思って。どんな理由でも遅刻、早退、中抜けしていいんですよね?って課長に。さすがに自由すぎだら」
「ですね、鈴本さんブチ切れてましたよ、今日も」
「なんで上はそんな自由にさせて何も言わないんだろう」
「諦めてますよね。言うのが面倒くさいみたいな」
「でも、役職者はそれが仕事じゃんね。朝も毎日毎日よくもまあ8:59とかに滑り込みで来れるなぁって感心するわ〜。だから全体朝礼に間に合わないのも恥ずかしいって思わんのかね?今週なんて半分くらい間に合ってないよね。しかも、今日のあの態度見た?」
「あぁ、見ました笑」
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体操の後、連絡事項や安全スローガンなどの唱和を現場作業員も事務員も役職者も全員で行う。佐伯ナナミは今日も整列には間に合わなかったので全体朝礼には参加せず、しれっとデスクに座って待っていた。
「佐伯さん、あの時間で間に合ったの?タイムカード」
「あの時間は流石に無理でした!」
と、平然と大きな声で言ってのけた。
(はぁ?ちょっとは申し訳なさそうに言ったらどうなの?何なんコイツ…)
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