第17話



「授業始めるから席に座れー」


健吾楼(先生)が教室に入り教卓前にたった

健吾楼(先生)が来てから騒がしいクラスが一気に静まり返った


「挨拶は良いから...今から俺が出す問題を多く取れた奴から家に帰って良いぞー」

「先生!まだ2時間目です!」

「あー早く帰りたいだろお前ら...こんなつまらん事やんないで」


クラスの生徒の大半が頷いた


「あっついでに部活を決めないとな...まぁ良いか...今やんなくて」


えぇ...部活の申し込みは明日までだから

今日終わらせた方が良いじゃないか...まぁ帰宅部の僕には関係ないが


「それでは問題を書いてくから.....メモなどは取らなくて良いぞー」


先生は小学生でも出来るような

なぞなぞやクイズや問題を黒板に書き始めた

“5人で鬼ごっこして居て2人捕まりました..残り何人”とか“73×58”など

色んな問題が出てきた


簡単..だな...

一応此処..特選クラスだぞ...


「あっ言い忘れたが1問でもミスったら...高校物理の問題を解かせるからな」


黒板にびっしりと書かれた問題を

一問10秒くらいで解いた

だいたい5分くらいかけて全ての答えを導き出し

一つ一つ裏紙に答えを書き

健吾楼(先生)に見せに行こうとした


僕が席を立ち上がったのとほぼ同時に夜桜(探偵)も立ち上がり

健吾楼(先生)に向かって歩き始めた


一番に行くと目立つから...2番目に出すか

そう決意し

ゆっくり僕は歩き始めた


「流石だな...夜桜...全問正解だ..帰って良いぞ」

「ありがとうございます...」


そう言って夜桜(探偵)は荷物をまとめ帰る準備した


「流石...夜桜様だ....こんな短時間で全問正解取れるなんて...」

「やっぱりすごい才能だな」


皆んなが夜桜(探偵)に注目して居る間に

僕は健吾楼(先生)に書いた答えを渡した

20秒くらい健吾楼は紙を見つめた


「惜しいな..単位が書いて居ない...高校物理だ」


嘘だろ...単位くらい見逃してくれよ...ケチだな

高校物理はめんどくさいし...


僕は教卓に置いてある高校物理のプリントを手に取り

自分の席に向かった


「ぷっあの陰キャミスってやんの」


誰だ...いま僕を陰キャって言った奴...


まぁ...今は見逃そう...


7分くらいかけて僕はプリントの問題を解き終えた

合計20問近くあった問題の答え全てに単位を書いたことを確認し

プリントを健吾楼に渡した


僕が解いて居る間に何人かが

黒板の問題を解き終わり健吾楼に出したが

いずれにしろ全員何問か凡ミスして居た


「ほぉ...正解だ...一問でもミスって居たらもう一枚やらせる気だったのに...安心しろ帰っていいぞ」


安心しろ...お前に言われなくても帰るよ...


自分の席に戻り

帰る準備をした

周りから嫉妬の視線が集まった

はぁ...吐きそう


教室の前から帰ると視線などが痛い為

僕は後ろからこっそりと教室から出た

扉も築かれないようにゆっくりと開けて


「遅い....」

「よ...もっ紅葉...!どうして此処に...帰ったんじゃ」

「約束よ...今朝の」


あぁ...忘れてた

教える事が出来ない僕が

夜桜(探偵)と邦隆に走り方を教えるんだった

マジで教える事なんか無いのに...


「邦隆は...どうするの..」

「彼は...連絡先とかある?」

「えっ...ない」

「あの公園で集合だから気にする事は無いと思うよ...」

「そっ...そうだね」


夜桜(探偵)と共に

革靴に履き替え

校舎から出て...校門へ向かった

途中他の先生に何回かはちあったが

夜桜(探偵)が全てなんとかしてくれた

この時間帯に帰るって普通...早退くらいだからな


「バスを使わないでそのまま走って公園にいかない?」

「えっあっ...別に良いけど...」


校門の近くにいる警備員を夜桜(探偵)が説得し

扉を開けてくれた


「本気で走ってね」

「あっあぁ...わかった...」


校門から出てすぐ

夜桜(探偵)は物凄いスピードで走った

ここから公園までだいたい15kmくらいある


そこら辺のマラソンよりも長い距離だ

スピードを落とさず猛ダッシュで走り抜くのはかなりきつい...


夜桜(探偵)との差が50mを超えた時

僕は走り始めた


本気でやれと言われた

全力を尽くせと組織から教育されて居る為

自然と力が湧いてきた


時速80kmくらいで僕は走った

革靴には慣れた為

いつもよりも早く走れた


「えっ...嘘でしょ...早すぎ..」


夜桜(探偵)を10秒くらいかけて追い越し

そのままアパート近くの公園へ向かった

何度か赤信号で足を止めたが

夜桜(探偵)が僕を越す事は無かった


だいたい15分くらい掛けて僕はアパート近くの公園に着いた

「はぁ..はぁ」


組織に鍛えられたと言っても

この距離を走ると流石に疲れる


近くにあるベンチに腰をかけて休んだ


僕が公園に着いてから17分くらい経った後に夜桜(探偵)も公園に着いた


「はぁ...隼士...いくらなんでも速すぎ...はぁ...ほっ本当に..人間...?..はぁ...はぁ」

「人間だよ失礼な」

「はぁ..そこ...はぁ...そこら辺にある車よりも速いよ..はぁ」

「それは...車によるだろ..」

「そっそれもそうね」


夜桜(探偵)がとな地に座り出した


「なっ」

「良いじゃない..友達でしょ...あとこれ」


そう言って

制服のポケットから財布を取り出し

何十枚もある札束から1万円札を抜き出し

僕に突きつけた


今朝のあれ...ジョークじゃなかったんだ


「えっ流石に貰うのは...大丈夫だよ...」

「何か礼とかしないと気が済まない...から」

「えっじゃあ..すっスポーツドリンク1本奢ってくれないか...喉乾いてて」

「そっそれだけでいいの!」


驚いた顔で僕を見つめた


流石に夜桜(探偵)からお金を貰うのは出来ないって言うか...心が許さないって言うか...


喉乾いたから...スポーツドリンク飲みたいし


ベンチから立ち上がり

公園の中にある自販機に向かって

僕と夜桜(探偵)は歩き始めた


150円のスポーツドリンクを奢ってもらった


教えるって言われても教える事はないけど...

適当なことを言ったらバレそうだし...

組織のトレーニング方法でも...教えるか

教える程のものでは無いけどな...


公園の真ん中に移動した


「えっ..と..その場で...移動せずに足踏みを2000回します...」

「なるほど...って2000回!?」

「はっはい...基本中の基本なので..止まらず10分以内に終わらして下さい...ちゃんと頭の中で...えっ...数えて...下さい」

「なるほど」


そう言って夜桜(探偵)はその場で

物凄い速さで足踏みを始めた


公園は砂でできて居る為

砂が飛んで目に入ったりして痛かった...

ここでやらなきゃ良かったな...


「ーーーッッ...きつい...」


だいたい足踏みを1000まで達した時

夜桜(探偵)の顔に限界が見えた


「止めたら意味がないから...頑張るんだー」


1500回を超えてからスピードが落ち始めた

頭で数えながら

一歩も動かないで足を動かさないといけない

しかも砂の上で...


物凄い体力と精神力が試される...


2000回を超えた瞬間..夜桜(探偵)は地面に横たわった


「はぁ..はぁ..はぁ...キツすぎる...」

「おっお..疲れさまです」

「鬼かよ...はぁ...はぁ」

「やっ休んで..居る暇はありません!やるからには....」

「はぁ...はぁ..うそでしょ」


夜桜(探偵)は自力で立ち上がった


「あっ...えっ...次は...スクワット500回...ジョギング5kmを15分以内に」

「えっ...嘘でしょ...」

「こっこれくらい普通ですよ」

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