冒険者は辛いよ
犬時保志
第1話 愚か者のプロローグ
ここはハンエイ町の冒険者ギルドだ、俺とオロは冒険者登録を済ませた。
「冒険者タグって木札かよ」
受付嬢相手に、相棒のオロが不服そうに言ってる。
「中級のタグは銅になりますよ」
可愛い受付嬢が、律儀に答えてくれた。
俺と相棒は雪道を2日、路肩の雪を口に入れ水分補給するだけで食わず眠らず、大変な苦労の末冒険者登録の手続きを終らせた所だ。
「モノ!ギルド酒場で何か食って、安ブドウ酒で乾杯しようぜ!」
主の逆鱗に触れて解雇されるまで、二人は貴族当主の護衛に着く超エリート衛兵だった。
迂闊に休むと眠ってしまい凍死する、励まし合って2日間不眠不休で歩き続けた後のブドウ酒は、二人の意識を急激に奪った。
ギルド登録を済ませた安堵から、ギルド酒場のテーブルに突っ伏して爆睡する二人だった。
「おい!ここは宿屋じゃねえぞ!水だ!さっさと飲んで依頼を探しに行け!!」
酒場の大将はきつい事を言って、二人を起こしたが確り朝になるのを待って起こし、酔い冷ましの水まで飲ませる気の良い親父だ。
二人は近衛兵士として厳しい訓練を耐えた
二人は、初級3等と2等の依頼表を眺めてる。
「俺達のタグじゃ、魔物討伐は出来んぞ」
「魔物討伐は初級1等からか?それにしても雑用ばかりだな、俺達には無理だ出来そうにない」
「ろくな依頼が無いな…ドブさらいでもするか?」
「他に何か無いか?ドブさらいは流石に、そこまで落ちぶれては……」
オロとモノは元貴族、と言っても没落した男爵家の出で実家はどちらも消滅している。
元貴族のプライドだけで生きて来た二人は、剣で戦う以外何も出来ない日常の生活力は皆無で有った。
従って生活臭漂う雑用依頼は達成不可能な物しか無かった。
「酒場で聞いた話だが、裏技使うか?」
「裏技とは?」
「薬草採取の依頼を受けて、採取中ゴブリンに襲われたと言って魔石を出せば、初級3等でも合法的に魔物討伐が出来る」
「そんな話聞いたのか?良い!それで行こう!!」
最低数の薬草採取(5本)の依頼を受けて、迷いの森に向かった。
ゴブリンの出没するテリトリーを聞きもせず、適当に向かうところがバカでは無いが愚かな二人だった。
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