第3話

居酒屋で一時間ほど俺と龍翔りゅうしょうと二人で駄弁だべっていると残りの一人がやっと来たようだ。


「遅くなった」

「お疲れさん」「お疲れ~」

「おう、お疲れ様」


彼、【神木かみき 信也しんや

高校時代からのツレで、龍翔と同じく俺の依頼先の一つである。

彼は教会で助祭じょさいをしている。

まぁ教会での役職としての立場はお寺で言う処の副住職の様な立場である。

教会と言っても地域にある教会と言う建物的なものは特に無く、彼は場所を管理や祭事の手助けをするようなことはない。

役職名が助祭と言うだけで教会に所属しそれ以外の仕事に従事している。

外で名乗る際などに「神木と申します。助祭をしております」と言った方が話が早いから持たされている役職名なのだ。

彼の仕事先は教会所有の近代的なビルにあり、そこで依頼を受けその依頼に沿って行動することが彼の職務である。

本人曰く「やっていることが特殊なだけでサラリーマンでよ。仕事内容も掃業と同じ様なものですよ。」と言っている。

特殊ってなんだよって?彼の仕事は悪魔祓あくまばらいを主として、宇宙生物等々の問題を解決する仕事だ。

悪魔祓いは字の如く、悪魔を退治する若しくは追い払う事だ。

悪魔は地球古来のものと外来種とに分けられる。

そう聞くと昨今問題の生物の外来種問題のように聞こえるが、似たようなものだ。

外来種は宇宙と異世界からやってくる。

悪魔は知性がある為交渉での退去も可能である為、悪魔に対してネゴシエイト交渉するのが彼の仕事の一つとなる。

話の通じないのは退治するだけなので龍翔でも問題ないが、話が通じる場合がある為、悪魔関連の事は彼へと連絡する。

同じく宇宙からは地球に害になる者や物が悪魔以外もやってくる。

「Men In ブラック」て映画知ってるか?あれをリアルでやるだけだ。

問題が発生し記憶操作等の処理が必要な場合は、魔法的な感じでチョチョイノチョイと彼の上司がそれを行使する。

その上司が問題あった場合の後処理を担当するが、基本的に信也はその前までのトラブル解決までを行う。

その上司は金髪碧眼きんぱつへきがんの西洋風の顔立ちのイケメンではあるが、流暢りゅうちょうに日本語を話す。

彼から名刺を貰っているが、【ガブリエル】と書いてあった。

ガブリエルってどこかで聞いた名だなとか考えて思い出したので「神の言葉を伝える天使の名ですね」って言ったら「よく知ってますね。そのガブリエルです」と言われた。

聞くとガブリエルと言うのは役職名で、その役職に就いた時に拝命して名乗るらしい。

本名は地球の言葉で理解できない発音で名乗る事は無い為そうした偽名的なものが必要でそうしているとのことだ。

受胎告知とかはもう何代も前のガブリエルが担当したので彼の仕事ではないらしいが、今は宇宙からの違法移民的な存在の対応や信也のサポートが主な業務内容らしい。

「はぁ~疲れた」と言いながらワインを飲む信也は全世界を飛び回りそういう業務を行う世界を股に掛けるビジネスマンなのだ。

少し3人で駄弁っていると不意に信也が俺たちに聞いて来た。


「最近は何か面白そうなことあったか?」


そうここはある意味3人の交友の場であるが情報交換の場でもあるのだ。


「最近か?お!そう言えば数日前に亮太から依頼された件が凄かったぞ」

「数日前ってどの件だよ」

「ほら、あれだあれ」

「出て来ないとかお前はオヤジか!」

「がはははは~俺達も学生から見ればいいオジサンだぞ。」

「まぁそうだな・・・でどの件だよ」

「おっとそうだった、あの呪物の件だよ」


数日前に龍翔に依頼した心霊現象が多発する部屋にあった呪物の件を指して言っている。

彼はニヤリと笑いながら事の起こりから語り始めた。

興味を持った信也も興味深そうに話に聞き入る。


次は呪物について語ることとしよう。

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