第8話 夢の中へ③
「二人の事は分かった、で? 俺達はどうなんだ?」
俺とルイに関して言えば、真っ当な冒険者だろうから、俺は兎も角ルイの戦闘力からすれば、もっとランクが高くても良い筈だ。
それともその程度の奴は、その辺にゴロゴロ居る様な世界なのか?
「安心しろ。俺達はランクが低いだけでレベルは相当なもんだ。
ただレベルはランクに反映されないからよ」
そうか、ランクはギルドに認められて上がってくもんだけど、レベルは自分たち次第だからな!
つまりどっちかって言うと、レベルの方が実力値って事だよな!
「でもレベルは目に見えないからな〜
結局はランクで強いか弱いか判断するしか無いって事だろ?」
「そうでも無いぞ。俺は『
おおい! なんか増えたぞ!
何だよ『識別』って。
いやそりゃね、伊達にオタクを長年やってる訳じゃ無いですから、何と無く分かりますよ?
つまりは相手のステータスとか見れちゃうってヤツでしょ?
でもね、やっぱり使い方が分かんないの。
今やっと『
なのに新しい“
チュートリアル終わっても無いのに、新要素ぶち込むとかどんなクソゲーだって話しだぞ。
つか俺、幾つ“特技”持ってんの!?
「ほれ試しに俺と周りの奴らを見比べてみろよ、俺達よりレベルの高い奴はそんなに居ないと思うぞ」
は〜分かったよ、何と無くそれっぽくやっては見るけどさー
取り敢えずルイに意識を集中して……
ウェ……ニヤついた筋肉ゴリラを凝視するのはキツイ。
どうせ見るならもっと綺麗なものを見たいが、いきなり赤の他人をジロジロ見るのも気が引けるしな。
練習と思って我慢するか。
よし、もう一度。ルイに意識を集中して……『識別』!
ん? おお!?
なんか出た!
こりゃ良くゲームとかで見る、ステータスウィンドウってヤツっぽい。
それが空中に投影されたみたいに現れたぞ。
へ〜どれどれ。
『名前:ルイ
種族:人族
性別:男
年齢:37
職業:戦士
レベル:48
特技:・
『探知能力』は知ってたけど、それ以外に二つ“特技”を持ってるんだな。
『強化筋力』は何と無くどんな“特技”か分かるけど、『限界突破』はどんなだ?
それと年齢が分かるのか……レムに使えば実年齢が分かるな。
「どうだ?」
「あーうん、見えた見えた。レベル48ってどの位か分からんけど」
「お! またレベルが上がったか、前回の戦闘でかな。
レベル具合はホレ、周りと比べてみろ」
どれどれ、ちょいと失礼して見せて頂きますね〜
あ〜成程。パパッとレベルだけ見せて貰った限り、殆どが一桁か高くても10代前半って所か。
じゃあ48って相当高いんじゃね?
「どうだ言った通りだろ?
あそこに居るヤツなんざ、対象ランクが『金の三枚目』の契約書をさっき持ってったが、実力に見合うと思うか?」
えーと、アイツか。
なんかやけにキラキラした装備で身を固めてるな〜
鎧なんて傷一つ無いし、剣も抜いた事あんのか? って位真新しい、それどころか派手に飾り付けられた装飾は逆に動き難そうまで有る。
早撃ちで有名なキャラに「何の
身に付けてる奴もなんかチャラいつーか、軽薄そうな如何にも金持ちのボンボンって感じだし。
どれレベルは……3……
あ〜うん、見た目通りだったね。
周りにいる取り巻きみたいな奴らの方がよっぽど高レベルだ。
それでも二桁に届いてる奴は居ないけど。
「なんだありゃ、あんなレベルでも『金の三枚目』だかになれんの?」
「ああ言う類いの奴はランクを金で買うのさ、強い用心棒を雇って荒ゴトはそいつにやらせて、手柄だけは独り占め。
そうすりゃレベルは低くても、ランクと知名度だけは上がってくのさ」
「ふーん、どこの世界にもクズってのは居るんだな。
おや? 何やら様子がおかしいぞ」
『識別』で見えた名前だと『
そのキザッティーのところに子供位の小さな人影が近づいて行って、二言三言交わしたと思ったら足蹴にされる様に追い返された。
いや様にじゃ無くて、本当にされてこっちまで転がって来たぞ!
おいおい子供相手に随分だな、ひでー事しやがる。
ん? でもこんな所に子供?
子連れの冒険者でもいんのか?
それよりこの子大丈夫かよ、結構な勢いだったけど。
「大丈夫か? どこか怪我はしてないか?」
「あ、すみません。有難う御座います」
あ、まだ『識別』しっぱなしだったわ。
『名前:ロミ
種族:ハーフリング族
性別:??
年齢:16(人族年齢)
職業:僧侶
レベル:22
特技:・女神の
……え?
「えーーーーーーーー!!!!!!!」
「ひゃう」
「何だよ突然でけー声出して!」
「ここここの子、めめめ女神のm」
「わーわーわーお兄さん有難う! 是非お礼がしたいのでボクに一杯奢らせて下さい!」
おおお? なんだなんだ?
見かけによらずな機敏な動きで俺に飛び乗って来たと思ったら、両手で口を塞がれたぞ!
で、なに? 外出るのか?
これまた見かけに寄らない強い力で、俺の手を引っ張ってるけど。
「分かった分かった、分かったからそう引っ張るなよ。
ルイ、行こう」
「お? おう。
騒がせたな!」
※
で、宿まで戻って俺の部屋に集まった訳だが……
「結局コイツは何なんだ?」
「名前はロミ、ハーフリング族の僧侶で『女神の御子』だ」
「へー女神の……ああ!?」
うん、まあそうなるよな。
「あ、あの〜」
「ああ、えっと御免ね。取り敢えず自己紹介しとく、俺の名前はライト、こっちのデカいのはルイ。
君はロミで間違って無い?」
「はい、合ってます。どうしてボクの名前を……それに“特技”まで……」
「俺の“特技”『識別』のおかげだよ、それで大体の事は見えちゃうんだ」
しかし『女神の御子』って“特技”だったんだな。
後、そこまで見えたのに、性別が??になってたのは何故?
見た目で言えば女の子に見える、しかも結構可愛い。
が、同時に子供(実際は子供じゃ無いが)特有の中性的な感じも持ち合わせていて、どっちと言われても可笑しくは無い感じだ。
『識別』も万能じゃ無いって事か。
ついでに言わせて貰うけど、年齢のとこが「人族年齢」ってのもな〜
種族で寿命が違うから人族換算でって事なんだろうけど、じゃあ実年齢分かんないじゃん!
「で、ロミはあそこで何を? って冒険者ギルドに居たんだから仲間探しか」
「はい、一緒に旅してくれる仲間を探してました。
受付で聞いたら、この街一のランク持ちはあの人だって教えてくれたので……」
「で、断られたと。しかもこっ酷く」
「はい……低ランクの奴と組む気は無いって」
はっ! あの金メッキ野郎め、実力も無けりゃ見る目も無いね〜
とか大口叩いてるけど俺だって『識別』が無けりゃ、ロミが高レベルな上『女神の御子』だなんて思いもしなかっただろうけど。
「あんな上辺だけの低レベル野郎となんか、仲間にならなくて正解だよ。
良かったら俺達とパーティーを組まないか?
俺達はこう見えて魔王を討伐する為に旅する、勇者パーティーなんだぜ?」
「魔王……勇者……さま?」
なんか口に出して言うと「勇者パーティー」って、かなり胡散臭いよな。
俺だったら絶対近付かないな!
「ははは……信用出来ないかも知れないが本当の事だよ。
なっ? ルイ。
「あーまあ、そうなんだが……」
「何だよ歯切れ悪いな、俺を勇者だって言ったのは他でも無くルイだろ?」
「そうなんだがよ〜
まあここらで説明しとくか……」
なんだなんだ? なにやら雲行きが怪しくなって来たぞ?
「先ずこの世界に勇者なんてモノは居ないって事だ」
「ちょっと待て! 話しが違うじゃんか!」
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