第6話 初めてのダンジョン探索

初めて未来は、旅をしてからパーティーを組んだ。それも根っから気の合う仲間と一緒に冒険できることに喜びを抱いていた。旅を一人でするのも楽しいが、パーティーメンバーと旅をするのも、それもまた楽しいものだと思う。


未来は、ギルドの依頼をこなすのはどうしてもルイを連れていけないため、一人でこなすことになってしまう。上級職と下級職では全然違うので、下級職の依頼を受けることはできても、ルイが上級職の依頼は受けられないのだ。


そのことは分かっていても、どうしてもルイと一緒にギルドの仕事をしたいという気持ちがある。しかし、未来のところに回ってくるクエストは、ほとんどが上級職用のクエストばかりだった。


これではパーティーを組んだ意味がないとまで考えていた。


未来は突如ひらめいた。


「ダンジョン探索をしよう」


依頼から帰ったらルイに相談してみよう。討伐依頼を完了し、宿に帰るとルイがばつの悪い顔でこっちを見た。


「未来とパーティーを組んでから一度も一緒にギルドの依頼をこなせていないじゃないか。」ルイは言った。


未来もそのことについて気にしていたので、相談に入る。


「そのことなんだけど、ダンジョンに入ってみない?」


「俺はまだダンジョンの10階層くらいまでしか行けない実力だけど大丈夫か?」


「それ以下の階層には入らないから大丈夫だよ。」


「俺はダンジョン10階層のボス戦に挑む大規模パーティーで怪我をしたからボス戦には挑めないぞ。」


「それでもいいし、もし挑んでも私が戦闘メインで戦うから大丈夫。」


「まずは、素材集めが重要だから低層から武器の素材が欲しい」


「分かった。まずは低層から攻略していきましょう。」


「じゃあ今日はもう遅いからダンジョン攻略は明日から行うようにしましょう」


未来とルイは、自分のお部屋に帰って各自でダンジョン攻略のイメージ作りを行った。ルイは一回ダンジョン攻略に失敗しているため、特に念入りに準備していた。未来はああ言っていたが、それでも足を引っ張るわけにはいかないと考えていたからだ。


実際ルイと未来の戦力差は大分離れているのは確か。しかし、その戦力差を埋めるためには、適正を上げていかなければならない。その手伝いを未来にお願いするしかないことに情けなさを感じていたのも事実だった。


ダンジョン探索初日は、3階層で素材集めをしていた。魔物は、見つけたら倒していくが、まずはダンジョンに落ちている鉱石などを収集して帰ることにした。


魔物で武器になるような素材をドロップする場合はその魔物を優先的に討伐するのが今回の目的である。


魔物を討伐するリストはカマキリ型の魔物キリキリマイやアリ型の魔物のジャイアントアントを討伐することにした。


キリキリマイの鎌とジャイアントアントのエキスは鉱物と混ぜると協力な武器を作ることができるので、収集して帰ったらまずは生産職の職人に依頼して武器を作ってもらうことを打ち合わせていた。


その計画を実行するためには、4時間くらいでダンジョンに潜るのを切り辞めて、生産職の職人さんの店に持っていかなければならない。


大体お昼頃に依頼を出したら出来上がるのは、夕方でも夕日が落ちた頃になりそうだ。


そのため、できるだけお昼までには収集を完了しなければならない。探索範囲は、3~6階層と決めていたため、時間には間に合いそうだ。


魔物狩りの担当がルイで、鉱石などの採取を未来が行うことで、効率よく収集を完了させていく。4時間が経った頃には、武器を作ることができるくらいには素材が集まっていた。


未来は、鉱石は鑑定士のところにも持っていかなければならない。鉱石が使えるものかは鑑定士に見せて判断しなければならない。幸いこれから行く店は鑑定士も常駐している店だ。


未来は、鉱石を必要以上に採取してできるだけ必要な分を確保しようとした。


余ったものは全て生産職かもしくは、ギルドに買い取ってもらえるので、多い分には問題はない。


多い分には、お金が増えるのでそれはそれでいいとは思っていた。


未来とルイは、ダンジョンから出て生産職の店に向かうことにした。生産職の店に着くと、すぐに鑑定をしてもらって、珍しい鉱物が含まれていることが分かった。鑑定してみて分かったことは、ほとんどの鉱石が使えるものが多かった。


その鉱石を元に武器を作っていく。他にも魔物からドロップした素材を、使って武器を作っていく。


お昼頃に依頼を出したので、夕暮れの頃には出来上がる予定である。


未来とルイは、話し合いパーティーに生産職と鑑定スキルがある人が必要だと結論付けた。そのため、待っている時間にギルドに行ってパーティーメンバー募集をかけにいこうとしていた。


ギルドに着いて手続きするために受付にいた。そして、手続きを終えてギルドで待ってみたが夕方まで待っても応募者が現れなかったため、この日は諦めて武器が出来上がっているか見に行ってみた。


ルイの武器は、剣だった。ルイは戦士職なので、剣を愛用していた。その剣が仕上がってルイは驚愕していた。かっこよい剣かつ装備してみて使いやすさがぐんを抜いて高かった。


今までこんなに軽くても切れる剣は、使ったことはなかった。未来が見つけた珍しい鉱石を元に作ってみたら思わぬものができてしまった。未来も喜んだ。自分が手伝ってよかったと心底思った。


未来は、これからもダンジョン攻略を主にルイと頑張っていこうと思った。この街の滞在は、長くなるかもしれない。

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